英ARMとアプリックス(本社:東京都新宿区)は現地時間9月4日に,ARM社がJava対応拡張命令セット「Jazelle」をアプリックスにライセンス供与したことを明らかにした。ARM社がJazelle技術のソフトウエア部品「Jazelle Technology Enabling Kit(JTEK)」を日本企業にライセンス供与するのはこれが初めてという。

 アプリックスはJazelleをJTRON仕様リアルタイムOS「JBlend」の将来版に取り入れる。JBlendはソニーのビデオ・カメラ「MD DISCAM」や三洋電機の「Digital Photo Album」をはじめ,各種携帯電話機に利用されている。なおJTRONは,ITRON上のJavaインタフェースを標準化したものである。

 「消費電力を抑えながら,Java対応の高画質ゲーム,オンライン・チケット発行,ホーム・ショッピングやバンキングといったアプリケーションを組み込み機器で利用できるようにする」(両社)としている。

 Jazelleの特徴は,Javaのバイトコードを直接実行する点。ARMプロセサにJazelle動作モードを追加することで,既存のARM命令とJavaバイトコードの両方の命令を一つのプロセサで実行できるようにする。Javaバイトコードの約80%をハードウエアで実行し,除算や浮動小数点演算命令など残り約20%は例外処理として既存のARM命令で処理する。

 このような仕組みを設けることで,「チップ面積を増大させるとなくJava処理性能を向上させることが可能になった」(ARM社)。無線機器やインターネット端末のJavaアプリケーションを10倍程度高速化できるという。

 アプリックスはJTEKを組み込んだJBlendを顧客向けに提供する。米Sun Microsystemsの既存の組み込みJava技術,J2ME(CDCおよびCLDC),Personal Javaに対応する。

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