「PDAやデジタル携帯電話機の開発が急速に進み,軽量の情報端末への需要が増すとともに,Java仮想マシン(Java VM:Java Virtual Machine)市場は2000年~2005年に年平均83.5%で急成長する」などとする調査結果を,米Cahners In-Stat/MDRが米国時間8月8日に発表した。

 大量出荷されているマイクロプロセサはJavaを直接サポートしていないが,Java VMを組み込むことによりJavaコードを処理することが可能になる。Java VMエクステンション,ソフトウエア・インタープリタ,Java VMアクセラレータの台数(本数)は,2005年に世界中で合計7億2100万に達する。アクセラレータは最も急速な伸びをみせる。

 「Java対応機器の世界出荷台数は,第3世代(3G)携帯電話技術の導入とともに2002年から大幅に増加しはじめる。結果としてJavaアクセラレータへの需要が増す」(In-Stat/MDR社Digital Engines Service部門主席アナリストのMax Baron氏)。

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・2001年にJava VM搭載マシンの過半数を占めるのは,インターネット対応携帯電話機である。

・2001年におけるJava VM市場の首位はインタープリタで,97%のシェアを占める。しかし2005年にはシェアが30%まで縮小し,かろうじて2位となる。Java ISA(命令セット・アーキテクチャ)エクステンションは2003年以降徐々にシェアを拡大し,5年間で平均103.3%の急成長をみせる。

・Java VMアクセラレータの売上高のうちほとんどはライセンス料である。2001年の平均ライセンス料は1ライセンス当たり35万ドル。

・モバイル機器で最もよく利用されるマイクロプロセサ・コアは英ARMのARMアーキテクチャ。

・ハードウエア・ベースのJava VMアクセラレータを組み込むことにより,ソフトウエアのみの場合に比べて5~10倍処理速度を高めることができるという。現在量産されているJavaアクセラレータにはARM社の「Jazelle」,Nazomi社の「JSTAR」,米inSiliconの「JVXtreme」,Parthus社の「MachStream」,Aurora VLSI社の「DeCaf」,Zucotto Wireless社の「Xpresso」がある。

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