米IDCが米国時間8月8日に,世界のパソコン向け半導体製品の市場について調査分析した結果を発表した。市場は2005年までは回復しないと分析する。

 「2000年の3月から8月にかけて,半導体ベンダーは膨大な需要に応えるため,慌てふためき苦闘した。しかしその後需要は急下降し,半導体ベンダーの売り上げも急落した」(IDC)。

 同社Semiconductor: Desktop and Mobile PCs研究部門上級アナリストのShane Rau氏は,「米国市場におけるパソコンの出荷台数は2001年に初めて減少する。また世界市場の出荷台数の伸び率も1ケタ台にとどまる」と予測する。「当然,パソコン向け半導体ベンダーへの影響は大きい。たとえ製品在庫が片付いたとしても,極端な需要低迷はそのままである。極端さはなくなるものの,2001年後半を通してこの低迷状態は続く」(同氏)。

 世界市場の売り上げは2000年の503億ドルから2001年は380億ドルにまで落ち込むとIDCはみる。またデスクトップ・パソコン向けの半導体製品市場への影響が最も大きく,その売り上げは2001年の386億ドルから2001年は273億ドルに「崩落する」(IDC)。モバイル・パソコン向け製品は117億ドルから106億ドルに減少する。

 部品別でみると,「マイクロプロセサとDRAMが大打撃を被る」(IDC)。マイクロプロセサの世界市場は,2000年の271億ドルから2001年末には222億ドルにまで落ち込む。DRAM市場は同期間に124億ドルから66億ドルに減少する。

 なお米Intelが最近「マイクロプロセサ市場は安定期に入った」という見解を発表し,これがパソコン向け半導体製品の低迷期が終わるという楽観論をもたらした。しかしその楽観論は「正しいとは認めらない」とRau氏は指摘する。

 同氏はその理由について次のように説明する。「第1にパソコン・ベンダーはIntel社とは異なる見解を示していること,第2に,マイクロプロセサはパソコンの中核を担うが,やはり部品の一つに過ぎない。DRAMサプライヤなど他の半導体を手がける半導体企業の業績が振るわず,彼ら自身も2002年までの回復は見込めないと考えている」(Rau氏)

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