米Forrester Researchが米国時間4月5日に,「オンライン店舗や商品を集めているショッピング仲介サイトはやがて淘汰される」などとする調査結果を発表した。

 調査は50の小売業者にインタビューした結果を分析したもので,小売業者のポータルとの関係,比較ショッピング・サイト,ニッチ市場向けコンテンツ提供サイト,アフィリエート・プログラムやそれを実施しているネットワークについて質問した。

 同社の分析によると,電子商取引ブローカへと発展するショッピング仲介サイトが,今後生き残れるのだという。これら電子商取引ブローカの売上高は2005年にオンライン小売り市場の48%を占めるまでになるという。なお同社がここで言う電子商取引ブローカとは,買い物客にリンクのリストを提供して,小売業者との仲介を受け身的に行うだけでなく,より積極的な役割を果たす業者のことである。これら業者はマーケティング,マーチャンダイジング,顧客サービスといった面でオンライン店舗をサポートし,購入プロセスを通して顧客を導くようになるという。

 「小売業者は将来性のない比較ショッピングやニッチ市場向けコンテンツ提供サイトとの提携に時間と金を費やし自己満足に至っている。買い物客の求めているものと小売業者や仲介サイトが提供しているものにはギャップがある。消費者が求めているのは製品であってコンテンツではない」(Forrester社アナリストのCarrie A. Johnson氏)。

 また,顧客は自分がすでに知っていて,信頼のおける小売業者やメーカーのサイトを直接訪れる傾向にあり,mySimon.comなどの仲介サイトを訪れる人は少ないという。小売業者は顧客の買い物を支援するパートナに間違った相手を選んでいると,同社は指摘する。

 「小売業者は,規模,サービス,スピードを消費者に提供できるパートナを選ぶ必要がある。比較ショッピング・サイト,製品評価サイト,ポータルを目指すサイトなどは必要とされるものを持たっていない。だがアフィリエート・プログラムやAOL,MSN,Yahoo!などの大手ポータルにはそれがある」(同氏)。

 このほか,同社は次のように予測する。

 2005年までにポータルは電子商取引ブローカへと変貌を遂げ,小売業者に販売のプラットフォームを提供するようになる。そこでは小売業者はより多くの顧客にメッセージを伝え,顧客を転向させ,サービスを提供できるようになる。また,リソースを統合した「ワン・ストップ・ショッピング」を構築し,製品探しや購入までのプロセスを手助けする機能やサービスを提供するようになる。

 さらに電子商取引ブローカは,サイトのネットワークからユーザー・データを収集し,小売業者の顧客行動予測・分析を手助けする。これにより,小売業者は将来的な顧客の購買行動を広い視野で予測できるだけでなく,適切な製品を適切な相手に提供できる。また消費者には,比較ショッピング・エンジン,業者の評価,提携店の全店で利用できるウォレット(電子財布)などのツールを提供し,買い物のすべての工程をサポートするサービスを提供する。

 電子商取引の技術・市場・産業関連の詳しい情報は総合IT情報サイト『IT Pro』の「電子商取引(EC)」で詳しくお読みいただけます。

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