米Microsoftが開発中の手書き入力対応ノートパッド型パソコンのプラットフォーム「Tablet PC」に関し,ベンダー企業と幅広く協力体制を敷いていることを明らかにした。同社の会長兼Chief Software ArchitectのBill Gates氏がカリフォルニア州で開催中の「Windows Hardware and Engineering Conference(WinHEC)」の基調講演のなかで語ったもの。
「Tablet PC」はパソコンの設計手法や機能の面で,Microsoft社が「大きな飛躍」と位置づける製品。同社は2000年11月のCOMDEXでプロトタイプを初披露した。OSはWindows XPを最適化する。Windowsのフル機能および既存のWindows向けソフトウエアが利用できる。ユーザが日常的に使うメイン・パソコンとしの利用を想定している。ペン入力が可能で,会議中のメモ書き,電子文書やプレゼンテーション画面への注釈付けなど,これまでパソコンでは応えられなかったニーズに取り組んだという。
「3年から5年後にはペン入力や音声入力が今日のキーボードやマウスのように普及する。今後Windowsを“natural computing”に最適なプラットフォームとしていく。当社が目指す“natural computing”とは,ユーザーにとって最も自然な方法で作業できるパソコンの環境のこと。natural computingは非常に大がかりなビジョンであり,Tablet PCはこのビジョンを実現するための第一歩となる」(Microsoft社Tablet PCのWorldwide Marketing and Planning担当ディレクター,Leland Rockoff氏)。
Tablet PCは企業ユーザーと個人ユーザーの両方に向ける。「特に会議などでデスクを離れる時間の多い人に便利」(Rockoff氏)。リリースは2002年を予定している。
Microsoft社は具体的なハードウエア企業名については明らかにしていないが,米Compaq Computerが同日,Microsofts社と戦略提携し,Tablet PCをベースにしたパソコンを投入すると発表している。米メディアの報道によれば,台湾のAcer,ソニー,東芝もTablet PCを搭載したマシンを計画しているという。
また米TransmetaとBIOSベンダー米Phoenix Technologiesが同日,自社の技術をTablet PCに搭載することで,Microsoft社と協力していることを明らかにした。Transmetaは「Crusoe」プロセサを,Phoenix社はプラットフォームウエア技術を提供する。
「軽量,高性能で,低温,長時間駆動のバッテリを組み込む」(Transmeta社)。
Phoenix社は新たにInformation Appliances部門を立ち上げ,端末のOEM企業向けにプラットフォームウエア技術を提供する。
なお,Phoenix社とTransmeta社は「Crusoe」向けのBIOSの開発に関しすでに提携関係にあり,Phoenix社はTransmeta社に出資も行っている。
【IT Pro注】 米IntelもWinHECでTablet PCをサポートすることを明らかにした。ただし,当社はニュースリリースは出していない。
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[Microsoft社の発表資料]
[Compaq社の発表資料]
[Transmeta社の発表資料]
[Phoenix社の発表資料]