このページは,「読者96人の意見に答える――『動かないコンピュータとコンサルタント』問題について」と題した記事の第6部です。第1部はこちらのページでお読みください。
[2002/10/31] インプリメンテーションを意識しない会社に注意
読者のコメントにもありました「何をしたらわからない,優先順位がつけられない」ときはコンサルティング会社,「どうシステム化していいかわからない」というときはインテグレータというのは非常によく言い表しています。最近はシステムが経営の中心にすえられてきました。ただのデータ管理ではなく,そのデータを意味のある形で分析するとか,意味を付加して次に流すとか,いままで人間系が実現してきたこと取って代わろうとしています。そうなってきたシステムに対して,コンサルティング会社とインテグレータとの垣根って,とにかく無くなってきてますね。賢明なコンサルティング会社とインテグレータはこれに気がついて,協業や人材拡充をしてます。中には「インプリメンテーションはうちの仕事じゃないね」といいきるコンサルティング会社もあるので,お気をつけください。インプリメンテーションを意識できないなら,システムの導入の話はしないほうが懸命です。
19時:純粋に戦略作りの支援だけするコンサルティング会社なら,インプリメンテーションを意識しなくてよいだろう。あまり実現性に拘泥していると,たいした戦略が描けない可能性もある。問題は,あまりにも現実離れした戦略をそのまま実行しようとすることだ。
[2002/10/31] XPの実践が一番
コンサルタントなど挟まずに,XP(エクストリーム・プログラミング)のオンサイトユーザーを実践するのが一番良い。あとは経営層が誰を抜擢するかの選択眼による。
19時3分:先日,ある人と「アウトソーシングに対抗するにはどうするか」というテーマであれこれ話していた。とにかく外に頼むから,いろいろ面倒なことが起きる。そこでもっとも効率がよく,しかもノウハウが残る開発方法を考えた。要件を決められる業務部門のエース,要件からきっちりシステムを設計できるシステム部門のエース,またたくまにバグの少ないソフトを開発できるソフト会社のエースを同じ部屋に集め,そこですべてを実施するのがいいだろう,という結論になった。そのとき二人は同じことを言った。「これはXPですね」。問題はこの意見を書かれた方がいうように,経営層がエースを抜擢できるかどうかである。
[2002/10/31] 安易な牽制策は無責任体制と紙一重
上流と下流の会社を分けて牽制を期待するのは,実は無責任の口実を与えるのと紙一重,と理解しました。 ▼コンサルティング会社も既存システムのベンダーも使いこなせないなら,もうやめとけと。自分で出来る事だけにしとけと。 ▼金融業の事例は現在進行形ですか?とすると,あのプロジェクトかな。
19時7分:まさに紙一重であり,二つの会社をうまく使い分けて成功する場合もある。記事に書いた事例はすべて実話である。あまり古いものは書けないが,比較的新しい事例の場合,機会があれば実名で報道したい。
[2002/10/31] 悲劇・悪夢・喜劇
本質を捉えず「見聞きした流行り言葉に踊らされる」経営陣,自社の社員を信じず「外部の立派な肩書きのある方の言葉だけを鵜呑みにする」経営陣,自分で戦略を熟慮決断できず「第三者の見解や他社の事例に倣わなければトップダウンができない」経営陣…悲劇です。それにつけいるコンサルタント…悪夢です。コンサルタント料を払うくらいなら,その金を社員の教育や労働にまわした方が成果も財産も残るのに…喜劇です。
19時10分:社員教育は重要である。将来の幹部候補生には,先に書いたようなXPプロジェクトを経験させるとよいだろう。
[2002/10/31] 答えを聞きたいならSEへ
コンサルタントとは指導・助言する人と解釈しています。つまり,導く,助けるのが仕事。アプローチ方法や手順,事例を教えてくれるのがコンサルタント。問題に対して解答や解決策”を出すのはSE。つまり,答えを聞きたいならSEへ,何が問題かわからないならコンサルタントへです。質問が明ならSE,質問が暗ならコンサルタント。社会学者か人類学者ってことでしょう。
19時11分:これは非常に分かりやすい。まったく違う仕事でありながら,コンサルタントとSEは協調しないといけない。それには,お互いの仕事をだいたい理解しておく必要もある。
[2002/10/31] なぜ記者自身を批判しないのか
ここまで,全方位で喧嘩を売っておきながら,どうして,自分自身を批判しないのでしょうか?三文字略語を次から次へと書きたて,あたかもその技法やパッケージを使えばすべての問題が解決するかのような錯覚を売っているのはメーカー・ベンダーだけではないでしょう。「日経コンピュータ」が過去にどれだけ日本の企業の情報システムのあり方をミスリードしてきたか,その自覚が無いとしたら,これからも不適切なコンサルタントや不出来のパッケージ,未熟なインテグレータへ依頼する企業の数は減らないのではないでしょうか?
19時18分:記者問題についてはすでに書いたので省略する。三文字略語は大嫌いなので,使わないようにしている。日経コンピュータ編集部に記者は通算すると15年くらいいたので,「日経コンピュータのミスリード」についてはいろいろと弁じたいことがある。しかし書き出すと長いので,またの機会にしたい。今作ろうとしている新媒体では,ご批判されているようなことを絶対しないつもりである。
[2002/10/31] エンジニアも寝技が必要か
「課長(?)島耕作」って,よく見ると寝技の連続なんですよね。エンジニアもあれぐらいのことをやらないと駄目かもしれない。
19時24分:ポリティカル・スキルはエンジニアにも欠かせない。しかしエンジニアは論理の人なので,非論理的な寝技はできないだろう。そもそも,する必要もないと思う。以下は余談である。島耕作シリーズは,お話としてはよくできていると思うが,単行本を買う気にはならない。筆者は,お話を読みたい場合は小説を選ぶ。漫画は,絵が爆発していないとつまらない。
(続く)
全文は以下のページでご覧ください。
■第1部 ~1月24日1時18分
■第2部 1月24日1時26分~2時38分
■第3部 1月24日2時45分~3時24分
■第4部 1月24日8時20分~9時15分
■第5部 1月24日11時10分~25日18時
■第6部 1月25日19時~19時24分(本記事)
■第7部 1月25日22時42分~23時40分
(谷島 宣之=ビズテック局編集委員)