米Intelが,インターネット・アクセス機能を備えるモバイル端末向けLSIの製造に用いる技術を開発したことを明らかにした。オランダのアムステルダムで開催中のIntel Developer Forum(IDF)で,現地時間5月17日に明らかにしたもの。日本法人のインテルでも記者会見を開き,概要を発表した。

 高速ロジック回路とフラッシュ・メモリ,アナログ回路を1チップに集積するプロセス技術である。プロセサにはStrongARMを使う。0.13μmルールの半導体から適用を始める。

 Intel社はこれまで,StrongARMとDSP,フラッシュの3点セットで第3世代(3G)携帯電話への食い込みを図っていたが,この三つを1チップ化することになる。

 「これまで携帯電話で4~5個の半導体チップで構成していた部分を,1個のチップで実現できる。1チップ化によって,小型化と消費電力の低減,信頼性の向上が図れる。性能も最大で5倍くらい高くなると踏んでいる」(Intel社の日本法人インテル通信技術本部 ワイヤレス・コンピテンシ・センター部長の内海弦氏)

 今回開発した技術を携帯電話向けのLSIに使えば,CPUコア部,ベースバンド処理を行うDSP(digital signal processor),周辺ロジック,フラッシュ・メモリを1チップに集積できる。DSPは,同社と米Analog Devicesは米国時間12月5日に発表したアーキテクチャ「Micro Signal Architecture」をベースにする。

「現時点で組み込めないのは,RF処理回路やパワー・アンプ部,PLL回路など」(内海氏)という。

 この製造技術を使ったLSIの出荷時期は2002年中を予定する。StrongARMの動作周波数は1GHzクラスになるもよう。

 なおフラッシュ・メモリ単体も,0.13μmルール以降はこの技術で製造する。配線はAl(アルミニウム)。多値にも対応できる。StrongARMなどXScaleアーキテクチャのLSIで,低消費電力タイプのものにも用いる。高速タイプには,別のプロセス技術を使う。

(横田 英史=IT Pro編集)

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