欧州SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージを使って基幹系システムを構築している約2000社のユーザー企業が憂鬱な事態に直面している。あと7年のうちに必ず基幹系システムを刷新しなければならない「2025年問題」に直面しているからだ。それまでに、ユーザー企業は新製品である「S/4HANA」に移行するか、SAP製品の利用を止めて基幹系システムを再構築するか、決断しなければならない。SAPユーザーが今、何を考え、今後どうするべきか。関係者への取材を基に徹底検証する。

 2025年の「SAP ERP」や「SAP Business Suite」の標準サポート終了を控え、SAPユーザーはどのように考え、どう判断すべきか。SAP製品のユーザー企業520社とパートナー企業50社が参加するユーザー会「ジャパンSAPユーザーグループ(JSUG:ジェイサグ)」の会長を務める鈴鹿靖史 日本航空常勤監査役に聞いた。


SAP ERPの標準サポート切れを、ユーザー企業はどのように認識していますか。

 毎年、調査を実施しています。2~3年前は「まだ先のこと」と考える企業が多くを占めていました。ところが2016年くらいに潮目が変わり、SAP ERPの標準サポート終了を課題として認識する企業が少しずつ増えていると実感しています。

ジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)鈴鹿靖史 会長
ジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)鈴鹿靖史 会長
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 背景には、AI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)といったデジタル化の話題が増えてきたほか、多くの企業がビジネスをグローバルに展開するようになったことが挙げられます。

 ドイツ、米国、中国といった海外のデジタル化の先進事例を見て、「当社の基幹系システムを何とかしなければ」と日本本社に対する危機意識を抱くようになった企業も少なくありません。

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