JR佐倉駅から車で約5分。前面に巨大な駐車場を備えた「ベイシア佐倉店」(千葉県佐倉市)が見えてくる。幹線道路沿いにあり、店内は水曜日の午前中にもかかわらず、主婦らであふれていた。
佐倉店は売り場面積が8000~1万m2を誇る「スーパーセンター」で、集中レジを囲むように食品や衣料品、住関連・レジャー・スポーツ売り場が広がる。まさに「日本のウォルマート」だ。1日に6000人を超える顧客が押し寄せることもある。
もやし1袋17円、白菜1玉98円、里芋100グラム38円──。EDLPを前面に打ち出したPOP(店頭販促)が並ぶ店内で、顧客は目当ての商品を手早く買い物かごに入れ、入口近くの集中レジに向かう。
午前11時30分。顧客の数が午前中のピークを迎える。佐倉店の平均買い上げ点数は優に20点を超える。通常の食品スーパーと比べると、1人当たりの精算時間が1.5~2倍かかるとみられる。
スーパーのレジといえば、昼前や夕方を迎えると、精算を待つ顧客が長蛇の列を作る光景が目に浮かぶ。にもかかわらず、佐倉店ではレジの前で精算を待つ顧客の姿は見当たらない。顧客は並ぶことなく次々と精算を終え、店を後にする。
レジの手前に立つベテラン従業員の荒屋幸子氏は、手元のPDA(携帯情報端末)の画面に目をやると、まだレジを待つ顧客がほとんどいない状況にもかかわらず、閉めていたレジを1台開けた。そして顧客に「どうぞこちらが開きますので」と声をかけた。
その直後、精算に向かう顧客が急に増え、あっという間にレジが埋まった。まるで荒屋氏には数分後にレジが混雑することが分かっていたかのようだ。