日本の人口減少・高齢化は進む一方です。それに伴い、従来ならば国内市場だけで十分やっていけた企業の多くが、海外市場にも活路を求めて、いわゆる“グローバル化”に乗り出しています。「我が社も事業を海外展開すべきであろうが、どう攻めたらよいのか分からない」「海外事業が伸び悩んでいる」と考えている企業の皆様、自社製品が海外で売れる、あるいは受け入れられる可能性があるのか調査に取り組んでみてはいかがでしょうか?

 私自身、これまで40件ほどの海外調査を手がけてきました。そして気づいたことは、多くの企業が海外調査の実施に関して、実際以上にハードルの高さを感じていることです。はっきり言って、それは誤解です。海外調査に二の足を踏む企業が、誤解しがちな代表例を挙げながら説明しましょう。

誤解1「英語ができないから」

 「グローバルと言えば不可欠なのが英語力であり、調査を発注する側とはいえ、英語ができなくて大丈夫なのか?」。グローバル化を目指す企業は、どうしてもこのように考えがちです。これは日本社会の共通傾向で、最近は様々な企業で英語の能力を不可欠のものと見なし、TOEICでの高スコア取得を昇進試験受験の条件にしているケースも少なくないようです。

 もちろん、英語はできないより、できたほうがよいでしょう。けれども、「グローバル」=「英語」と見なす傾向は、あまり現実的とは言えません。下図は世界で英語を公用語としている国などを色分けしたものですが、一目で分かるように、実は英語が公用語になっている国は、それほど多くありません。そして英語を母国語としない国のビジネスパーソンにとって、英語が日常接する言語ではないという点では、日本の状況と大差ありません。

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[世界の英語圏地域]は、英語が公用語、あるいは主要言語の国 は、英語は公用語だが、主要な言語ではない国(Wikipediaより引用)

 「英語力の高さが必須要件ではない」。これは実は、調査会社にとっても同様の状況なのです。極めて繊細なニュアンスが求められるようなケースの場合は、いくら英語に自信のある調査員でも、ネイティブの専門家に翻訳などを依頼しなければなりません。

 グローバルに水平分業が進んでいる現在、このような「日本人が手に負えないような業務」をはじめとする、多くの外国語関連業務の外注は、容易かつコストもかからない業務プロセスです。日本で調査のマネジメントをする人間に求められるのは、外国語に精通していることではなく、調査の目的に沿って全体の品質管理を行うことなのです。

 では実際、どの程度の英語力が必要なのでしょうか? 私の経験から言うと、クライアント企業の担当者の場合「ビジネス上のメールがやり取りできれば大体大丈夫」というのが実感です。

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