米デルと米EMCは2015年10月12日(現地時間)、デルによるEMC買収を正式に発表した(関連記事)。約670億ドル(約8兆円)にのぼるIT業界で過去最大規模の買収劇は、日本のユーザー企業やベンダーにどう影響するのか。調査会社のガートナー ジャパンの鈴木雅喜リサーチ部門ITインフラストラクチャ&セキュリティバイスプレジデントに聞いた(写真)。
(聞き手は井上 英明=日経コンピュータ)
ストレージ市場の成長をどのように見ていますか。
2014年7月~2015年6月におけるストレージ・システムの世界市場規模は228億円と見ている(グラフ1)。シェア1位は米EMCで32.7%。2位の米ネットアップに20ポイント以上の差をつけている。一方の米デルは6位でシェアは6.1%だ。
世界市場における2019年までの5年間の平均成長率は-1.6%と見ている。かつて成長を続けていたこの市場は伸びなくなっている。クラウドストレージやソフトウエアベースのストレージの拡大が成長鈍化の背景にある。
EMC製品がデル傘下に入るとどのような変化が起きますか。
現時点ではまだ未知数な部分がほとんどだ。ただ、大手ベンダーが新興ベンダーを買収するのと、今回の話はかなり違うとみるべきだ。米EMCは従業員7万人を擁する巨大企業である。買収が成立した場合、米デルのこれまでのビジネスの進め方に単純にEMCが埋め込まれるというよりは、EMCの強みや巨大なリソースをいかに生かすかにフォーカスされる可能性が高いだろう。