ソフトバンクグループでインターネットエクスチェンジ(IX)事業を提供するBBIXは2014年7月、アジア地域でモバイルインターネットのバックボーンをピアリングするための組織「Asia Smart IX Initiative」を発足させた。現状で課題も多いアジアのモバイルインターネット環境を改善するために、アジア地域で新たなモバイルインターネット向けのローミングピアリングエクスチェンジ(RPX)事業を展開するほか、アドバイザリーボードとしてアジア地域の携帯電話事業者などに参加してもらうという取り組みだ。随所にソフトバンクらしさが見える今回の取り組みについて、サービスを企画したBBIX 新規事業企画室の佐々木秀幸氏と専務取締役兼COOの福智道一氏に聞いた。

(聞き手は堀越 功=日経コミュニケーション


「Asia Smart IX Initiative」とはどんな取り組みになるのか。

佐々木氏:アジア地域のISPと携帯電話事業者向けに、モバイルの国際パケットローミングについてインターネットのピアリングと同様の相互接続環境を提供する取り組みになる。

 現状の携帯電話事業者の国際パケットローミングは、インターネットにおけるトランジットのような形で、ネットワークを国際中継するGRX(GPRS Roaming Exchange)事業者を経由して実現している。Asia Smart IX Initiativeは、このようなGRX事業者によるローミング中継サービスを使わず、もっと効率的にアジア地域の携帯電話事業者同士が直接ピアリングで結んで実現しようというコンセプトになる。

写真左からBBIX 専務取締役兼COOの福智道一氏と新規事業企画室の佐々木秀幸氏
写真左からBBIX 専務取締役兼COOの福智道一氏と新規事業企画室の佐々木秀幸氏
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 現状、アジア地域のインターネット環境にはいくつか課題がある。通信経路が欧米の大手事業者に依存していたり、旧来の国営系通信会社がインターネットを握っているなど利益の搾取構造が残っている点だ。さらにGSMのような2GからいきなりLTEのような4Gへマイグレーションするような国もあり、中長期的にはアクセス部分の急激なスピードアップに耐えうるバックボーンを作っていく必要がある。

 今回立ち上げたAsia Smart IX Initiativeは、このような課題の解消を目的としている。8月からトライアルを開始し、10月から商用サービスを開始したいと考えている。

具体的にはどんな運営体制になるのか。

佐々木氏:アドバイザリーボードとしてアジアの主要な携帯電話事業者に入ってもらい、IX運用の透明性、中立性を担保する。

 アドバイザリーボードのアドバイスを受けて、BBIXが実際のIXサービスを運用する。今回BBIXでは、東京に加えて新たに香港、シンガポールにIXの拠点を設置した。この3カ所をリングで結び、ネットワークIXという形で、これらいずれかのIXの拠点と接続していれば、直接ピアリングできる環境を用意した。

 この3カ所でアジアのトラフィックの50%程度の交換ができる。ピアリングで直接接続することで、無駄なホップが無くなり低遅延で品質の高いインターネット環境を実現できることになる。

 

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