特許侵害訴訟で争っていたカナダのResearch In Motion(RIM)と米NTPが和解に合意した。両者が米国時間3月3日にそれぞれ明らかにしたもの。RIMは和解金6億1250万ドルをNTPに支払い,NTPはRIMに特許ライセンスを供与する。

 これにより,RIMは「BlackBerry」関連事業を継続できる。RIMによれば,NTPはRIMに対する訴訟を同日取り下げたという。

 NTP共同設立者のDonald E. Stout氏は「RIMと友好的和解に至ったことに満足している」とのコメントを発表している。「米国の政府とBlackBerryユーザーを含め,すべての関係者にとって最良の解決だ」(同氏)。

 NTPのライセンスは,RIMの過去および将来の製品,サービス,技術すべてを対象にする。RIMはNTPのライセンスを無線事業者,サプライヤ,ISVに適用する権利を取得するため,RIMおよびこれらパートナー企業がRIM製品とサービスを自由に販売することが可能になる。

 RIMは和解経費のうち4億5000万ドルをすでに計上済みで,追加の1億6250万ドルを2005年12月~2006年2月期に計上する予定。

 両社の係争では,RIMがBlackBerry事業の差し止め命令を受ける可能性があると見られており,同社はNTPの特許を回避する対策として,モード切替を実行するためのBlackBerryデバイス向けソフトウエア・アップデート「BlackBerry Multi-Mode Edition」を用意するなどしていた(関連記事)。

 またRIMはカナダで現地時間3月3日に2005年12月~2006年2月期決算の速報を発表した。「NTPとの訴訟による影響が不透明だったため,当期の業績は事前の予測を下回った」(RIM社)。

 売上高は前期から横ばいの5億5000万~5億6000万ドルの見込み。2005年12月時点の予測は,5億9000万~6億2000万ドルだった。ちなみに前年同期の売上高は4億480万ドルだった。

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[発表資料(NTP社ののプレス・リリース)]
[発表資料(RIM社のプレス・リリース1)]
[発表資料(RIM社のプレス・リリース1)]