米テキサス州は,ソニーとドイツBertelsmannの合弁会社Sony BMG Music Entertainmentをスパイウエア規制法違反で提訴した。同州司法長官のGreg Abbott氏が米国時間11月21日に明らかにしたもの。同社のルートキット型コピー防止付きCDを巡って訴訟を起こすのは同州が初めてとなる。

 Sony BMG社が一部CDに採用した違法複製防止ソフトウエア「XCP」は,「自身の存在を隠蔽するルートキットの手法を利用している」として大きな問題になっている。同社は,XCPソフトウエアがインストールされたコンピュータがハッカーの攻撃に遭う危険性があることを認め,アンチウイルス・ソフトウエアで検出可能にするパッチを配布し,XCP付きCDの一時製造停止を決定。また同CDの回収交換プログラムも開始した。

 テキサス州は,「Sony BMG社は,消費者のコンピュータ・システムに損害を与える可能性のあるスパイウエアを数百万枚の音楽CDに潜ませた」と非難。「同社は秘密のファイルを隠蔽することで,消費者に対してテクノロジ版の詐欺行為を働いた。同社のCDを購入した消費者は音楽を買っているつもりだったが,実はスパイウエアを受け取り,ウイルス感染やID不正使用の危険にさらされていたのだ」(Abbott氏)

 テキサス州はSony BMG社に対し,法律違反1件につき10万ドルの罰金を要請している。

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