ソニーとドイツBertelsmannの合弁会社Sony BMG Music Entertainmentは米国時間11月10日に,音楽CDの違法複製防止にルートキットの手法を使っているとして批判を浴びる中,問題の技術を用いたCDの製造を一時停止すると発表した。

 同社が採用している「XCP」違法複製防止ソフトウエアは,「限られた数量の」(同社)CDに組み込まれており,「CDプレーヤやDVDプレーヤといった非コンピュータ・ベースの家電で使う場合には問題はない」」(同社)。

 米メディアの報道(InfoWorld)によると,XCPは英First 4 Internetが開発したもので,これを用いたCDは2005年初頭から販売されている。ソニーの約20タイトルの音楽CDに使用されており,CDの複製枚数を制限する。Windows関連の専門家であるMark Russinovich氏が,「XCPは,自身の存在を隠蔽するルートキットの手法を利用している」と指摘して問題が明るみに出た。

 ルートキットは,自身の痕跡を隠すことでシステム・ツールやアンチウイルス・ソフトウエアの検出を逃れ,ユーザーに気づかれないうちに動作するトロイの木馬型プログラムだ。Russinovich氏はハッカーがXCPを悪用する危険性があると警告していたが,実際,XCPの手法を利用したトロイの木馬が11月10日に検出されたという。

 Sony BMG Music Entertainment社は「XCPソフトウエアがインストールされたコンピュータに悪影響を与える可能性のあるトロイの木馬が出現したことを認識し」,アンチウイルス・ソフトウエアで検出可能にするためのパッチを大手アンチウイルス・ベンダーと一般向けに,同日配布を開始した。同社Webサイトからダウンロードできる。

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