米GartnerはIT職の今後の展望について調査した結果を,フランスのカンヌで開催中のシンポジウム「Gartner Symposium/ITxpo」で,現地時間11月9日に発表した。それによると,2010年までに大企業と中企業におけるIT部門の規模は現在より30%縮小し,IT職の6割はビジネスとより深く関わることが求められるという。

 ITの効率性に対する疑念,ITオートメーションの増加,世界規模でのアウトソーシング,さまざまなプロバイダを利用したマルチソーシングなどにより,IT職は専門知識以外にも,ビジネスに対する知識やリーダーシップなど,多面的な能力が必要になる。「業界,コア・プロセス,顧客ベース,規制など,ビジネスの実際を理解しなければならない」(同社)。

 Gartner社リサーチ担当副社長のDiane Morello氏は,「過去10年間が“スペシャリストの時代”であったとすれば,今後10年間は“多才なマルチ人間の時代”になる」と予測する。「マルチ人間は,ある分野に関する深い知識や経験を,さまざまな状況や問題解決に役立てることができる。また,複数のチームを全社的な視点に立って連携させるうえで活躍する」(同氏)。

 米メディア(InfoWorld)によると,Gartner社は「2010年までにIT職の30%は企業を離れ,ベンダーやサービス・プロバイダで職を得ている。10~15%は教師や公務員に転職している可能性がある」と述べている。また同社は,従来のIT分野が2010年までに,「技術インフラとサービス」「情報設計と管理」「プロセス設計と管理」「ソーシングと関係管理」の4つの領域に大別されると予測する。

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