日本IBMは10月27日、社員の雇用形態を改めると発表した。60歳の定年を迎えた社員の継続雇用が主眼で、単年度契約で65歳まで働ける雇用形態を用意するほか、高度専門職の雇用形態も見直した。新制度の適用は2006年4月から。人事担当の松永達也執行役員は、「今回の雇用制度の拡充は、雇用形態を多様化すると同時に、高年齢でも能力のある人に働く場所を提供するのが目的。また、日本IBMでも2007年に定年を迎える社員は他の年齢層より多く、今回の制度変更は“2007年問題”の対策にもなる」と説明する。

 新制度では新たに「シニア・エキスパート」と呼ぶ雇用形態を設ける。係長相当職以上が対象となり、週3~5日の勤務とする。社員が55歳になった際に、現状の正社員のまま勤務を続けるか、シニア・エキスパートに移行するかを選ぶ。正社員の場合は60歳が定年となるが、シニア・エキスパートの場合はいったん定年退職した後、単年度を前提に再度雇用契約を交わし、最高で65歳まで契約できる。週5日勤務して十分な結果が出せれば、従来の賃金を維持できるという。同社はこれまでも、週4日で62歳まで勤務できる「プログラムアドバイザー」という雇用形態を用意していたが、これを廃止してシニア・エキスパートに統合する。

 同時に、フェローや認定プロフェッショナルを対象とした「高度専門職」やコンサルタント職を対象とした「プロフェッショナルコントラクト」といった、従来からあった雇用形態にも変更を加えた。高度専門職は極めて高度な専門性を持つ社員を定年後も継続雇用するための制度。これまでは個人事業主に対する委任契約という形を取っていたため福利厚生がなかったが、今回の変更により福利厚生を受けられるようになる。もう一方のプロフェッショナルコントラクトは、コンサルタント職の社員が定年後も一定期間(1年から3年)の雇用契約を結ぶもの。今回、年齢の上限を60歳から65歳に引き上げるとともに、技術職にも適用できるようにした。