人材派遣を手がける米Hudson Highland Groupは,米国の雇用に関する調査結果を米国時間8月31日に発表した。それによれば,8月の雇用指数はマイナス5.5ポイントの98.2ポイントに下落した。2004年1月に調査を始めてから,指数が100ポイントを下回ったのは,今回で2度目になる。

 同社は,雇用計画のへの不安,個人財政,雇用確保に対する懸念の高まり,仕事に対する満足度の低さなどが指数を低下させたと分析している。

 8月は,個人的な経済状況を「大変良い」と「良い」と評価した割り合いが2ポイント落ちて42%となった。個人の経済状態が上向いたと回答した労働者の割り合いも3ポイント落ちている。これに対し,経済状態が悪化したとする回答は5ポイント増の43パーセントとなった。

 従業員の雇用を予定している企業は9ヶ月連続で31%近くを維持してきたが,8月は30%に落ちた。同時に,雇用削減を予定する企業は7月の16%から18%増加している。雇用保証に対する懸念も21%に上っており,仕事に対する満足度は74%から72%に落ちている。

 同社は,「夏の休暇がピークとなる時期には,正社員の雇用が減少する。そのため,雇用指数の低下はそれほど驚くべきものではない。今年は,過去最高のガソリン価格も,同指数における個人財政の数値に直接悪い影響を及ぼしている」と説明している。

 調査の中で,民間セクターのマネージャは,全国的な平均と比べてより楽観的であることが明らかになった。これらのグループは,個人の経済状況,仕事への満足度も上向きで,8月は失業に対する心配も低下している。

           全労働者  全労働者 全マネージャ 民間部門マネージャ
           05年8月  05年7月   05年8月   05年8月
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雇用を予定      30 %    31 %     30 %     41 %
解雇を予定      18 %    16 %     17 %     17 %
個人財務の悪化    43 %    38 %     39 %     33 %
失業の不安      21 %    20 %     20 %     21 %
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出典:Hudson

 IT業界でみると,雇用指数は7月の109.9ポイントから12.4減の97.5ポイントに下落している。米メディアの報道(CNET News.com)によると,失業を懸念するIT従事者は7月の26%から29%に増加している。また,IT従事者の個人的な経済状況に対する楽観性も低下しており,「大変良い」または「良い」とする回答は47%で7月の62%から大きく縮小しているという。

 同調査は,500人を超えるITプロフェッショナルを含め,医療,製造,金融,会計といった業界に従事するおよそ9000人の労働者に対して行なわれた。

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