米Forrester Researchは米国時間7月20日,欧州におけるITスキルの今後の需要について調査した結果を発表した。それによると,定年による退職者が急増する一方で,IT分野の卒業生が大幅に減少しており,早ければ2006年からITスキルを持つ人材が不足するという。

 Forrester Research社によると,今後,ビジネスに精通したIT職の需要が増加する。開発や運用といった技術的な業務のアウトソーシングは増加するものの,セキュリティ,社内アーキテクチャ,新技術などの意志決定に関する業務はアウトソーシングできないためである。「企業は,単なるIT技術者ではなく、ITスキルを持つビジネスに精通した人材を求めるようになる」(同社)

 調査から,企業は退職者の後任を新たに採用するだけでなく,社内研修による人材育成にも注力し始めていることが分かった。同社によると,欧州企業は2005~2007年に社内研修の予算を大幅に増額する計画だ。

 また企業は,エンジニアリングやテクノロジ関連の専門学校に,ビジネス,経営,財務,アーキテクチャ,契約などの分野に重点をおいたコースを提供してほしいと考えている。「企業の90%は,現在の教育システムについて,今後重要になるこれら分野に関する詳しい授業や,コースそのものが不足していると感じている」(同社)

 同社上級アナリストのRichard Peynot氏は,「管理職レベルになると,経験とその分野に関連した知識が必要になる。教育システムが需要に見合ったカリキュラムをすぐに提供できるとは限らないので,企業は社内で研修をしたり,大学との提携によるトレーニングを真剣に検討すべき」と指摘した。

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