調査内容 2008年第1四半期の分野別の前年同期比増減率
調査時期 2008年3月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 3200件(1174件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数


 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に行った2008年3月調査で,2008年1月~3月四半期のIT予算の前年同期比増減率を適用業務やITインフラの分野,ハード/ソフト別などに細分して聞いた。適用業務8分野(その他の適用業務分野を除く)では,前々回2007年9月調査(2007年7月~9月期)の8分野すべて前年同期比マイナスから,前回2007年12月調査で8分野中5分野がプラスに回復していたが,今回は「生産管理」のマイナス0.9%を除く7分野がプラスとなった。「生産管理」以外の7分野はともに,前回調査より前年同期比の増加率はアップしている。特に「会計」は前回調査(前年同期比平均1.3%増)から10.7ポイントの大幅なアップを示した。

 一方,システム・インフラ7分野(その他のインフラ分野を除く)は2007年9月調査の全分野前年同期比マイナスが,前回2007年12月調査で6分野プラスとなったが,今回は4分野がプラスで3分野がマイナス。ただし「情報系」のプラス5.2%以外の6分野はプラスマイナス3%以内で,ほとんど「前年同期並み」と言える。7分野すべてが前回調査より前年同期比の増加率がダウンしたが,ダウン幅も「運用・危機対策系」の4.3ポイント・ダウン以外は,3ポイント以内の小幅なダウンである。

 「新規システム開発」は前年同期比+3.7%で前回調査の+10.0%から低下。「運用・保守開発」も約4ポイント低下(前回調査+7.0%→今回+3.3%)したが,「既存システムの再構築」は前回の-3.4%から今回は+16.3%に大きく上昇した。「ハード購入」「ソフト購入」はともに前回調査から小幅な上昇を示した(順に前回+2.9%→今回+4.3%,前回-0.7%→今回+3.6%)。

 ちなみに,1年前の2007年3月調査(2007年1月~3月四半期)は,適用業務分野の大半が有効回答数30未満で参考値のため比較できないが,インフラ系や目的別,ハード/ソフト別の各分野のほとんどが10%~30%の前年同期比増を記録していた。今回の2008年3月調査での増加率が1年前の結果を上回ったのは,「既存システムの再構築」(2007年3月調査では13.1%)だけである。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム予算(四半期分)の総計を聞いた。
 新規購入や開発中の案件がなく、四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い、減価償却費のみの場合、それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが、自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%,「前年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「前年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 分野別のITインフラ系のうち,「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守,ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す,と設問に記載している。
 なお,適用業務分野の「SFA・営業系」と「SCM」と「物流」の3分野は2007年6月調査(2007年4月~6月期),「会計」以外の適用業務分野の7分野とシステム・インフラ分野の「運用・危機対策系」は2007年3月調査(2007年1月~3月期)での回答数が30件未満のため,四半期予算増減率INDEXは参考値。2006年9月調査と2006年12月調査,2007年9月調査と今回の2008年3月調査では,「その他」以外での参考値扱いの分野はない。2006年9月調査(2006年7月~9月期)は「全社情報システム担当者」の回答のみだったのに対し,2006年12月調査(2006年10月~12月期)からは「部門/事業所/ワークグループ・レベルの情報システム担当者」の回答も含んでいる。
 調査実施時期は2008年3月中旬,調査全体の有効回答は3200件,「所属する企業・組織で自社の情報システムにかかわる業務(企画立案・設計・開発・運用・予算承認など)を担当している」とした実質的な有効回答は1174件。

図●最新四半期(2008年1月~3月)IT予算の分野別の前年同期比増減率