調査内容 2007年第3四半期IT予算の分野別の前年同期比増減率
調査時期 2007年9月中旬
調査対象 ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者
有効回答 2073件(933件)
( )内は情報システム担当者の有効回答数

 日経マーケット・アクセスが企業の情報システム担当者を対象に行った2007年9月調査で,2007年7月~9月四半期のIT予算の総額(回答者が執行・承認の権限を持つシステム予算の合計)は前年同期比マイナス1%だった。

 適用業務やITインフラの分野,ハード/ソフト別などに細分して聞いたところ,やはり全分野で前年同期比の四半期予算の増減率平均はマイナスだった。初回の2006年9月調査(2006年7月~9月期)以来,「その他の分野」以外の分野の前年同期比予算増減率がマイナスになったのは今回が初めてだ。

 ただしその中でも,「ハードウエア購入」は前年同期比マイナス0.3%,業務アプリ分野は「CRM・顧客関連」が同マイナス0.6%,「既存システムの再構築」は同マイナス2.0%で,この3分野は前年同期予算と増減なしに近い。インフラ系の「セキュリティー」「ストレージ」,業務アプリ系の「SFA・営業系」も同マイナス3%台で,比較的減少幅が小さい。

大幅ダウンはSCM,生産管理,会計,人事・給与など

 逆に,前年同期比の予算減少率が大きい分野は業務アプリ系に目立ち,「SCM」の前年同期比マイナス14.4%を筆頭に,「生産管理」「会計」「人事・給与」「物流」とインフラ系の「アプリケーション(システム)間連携基盤系」,それに「ソフトウエア購入」の予算が前年同期比マイナス10%前後で並んだ。

 適用業務系の各分野は前回2007年6月調査(2007年4月~6月期)で前年同期比プラス20~65%もの大幅な平均増加率を示していた。特に「SFA」「経営戦略」「CRM」の3分野は前回,50%増以上という極端な伸び率だった。その反動もあって,前回調査に対する今回の前年同期比予算増減率の下げ幅は,「SFA」が約70ポイント,「経営戦略系」「CRM・顧客関連」「SCM」も前回調査比60ポイント以上のダウンとなった(ただし「SFA・営業系」と「SCM」の前回6月調査の平均増加率は回答数が30件未満のため参考値扱いである)。

■調査概要
 日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業情報システム担当者のうち,何らかの予算執行・承認権限を持つ人を対象に,執行・承認の権限を持つシステム予算(四半期分)の総計を聞いた。新規購入や開発中の案件がなく、四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い、減価償却費のみの場合、それらの本四半期分の総計額が属する範囲を選ぶよう求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが、自社内の開発・運用要員の人件費は含めない。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式回答(最も近いものを一つ選択)の「完全に削減」を-100%,「前年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内」を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「前年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 分野別のITインフラ系のうち,「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守,ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す,と設問に記載している。
 調査実施時期は2007年9月中旬~下旬,調査全体の有効回答は2073件,うち情報システム担当者の有効回答は933件。

図●最新四半期(2007年7月~9月)IT予算の分野別の前年同期比増減率