日経マーケット・アクセスが,ITpro Researchモニターに登録している企業の情報システム担当者を対象に行った2007年3月調査で,2007年1月~3月四半期のIT予算の前年同期比を,適用業務やITインフラの分野,ハード/ソフト別などで聞いた。

 適用業務分野別の前年同期比の予算増加率は,「会計システム」以外の各分野の回答数がいずれも30に届かず参考値扱いとなった。しかし四半期予算の前年同期比伸び率は高く,「CRM」と「経営戦略系」が約5割増。その他の分野も前回2006年12月調査では15%~20%増のあたりに集中していたが,今回の結果では25%~40%増とやや高めに移動した。

 インフラ系の各分野は,前回調査では最大でも前年同期比約17%増(アプリケーション(システム)間連携基盤系)だったが,今回は最低が「ネットワーク系(WAN,LAN,電話)」の同約16%増と全体的に大きく上昇。前年同期比増加率のトップは,「ストレージ系」の同約37%増だった。

 ハード/ソフト別では「ハード購入」「ソフト購入」の予算とも前回調査の前年同期比10%弱の増加(前々回2006年9月調査は同微増)と変わらず,今回も同約11%増だった。「新規システム」「既存システムの再構築」の予算は,前回,前々回調査ともほぼ同じ前年同期比約15%増だったが,年度末にあたる今回の調査では「新規」予算が同約23%増とさらに上昇。一方,「再構築」予算は同約13%増と小幅な増加にとどまった。

 前回2006年12月調査では,分野別に聞いた前年同期比予算の増加率がすべて,全体(回答者が執行・承認権限を持つ予算の総額)について聞いた平均値(4.9%増)を上回った。今回も,回答数が30に届かず参考値扱いとなった分野以外では,分野別に聞いた増加率が,全体について聞いた平均値の5.8%増(5月1日付け記事参照)をすべて上回るという結果になった。

◆注
 調査実施時期は2007年3月中旬,調査全体の有効回答は811件,うち情報システム担当者の有効回答は336件。
 本文中の「IT予算の前年同期比の平均」は,選択式回答の「完全に削減」を-100%,「昨年同期の50%未満にまで削減」を-75%,「50%以上80%未満にまで削減」を-35%,「80%以上90%未満」を-15%,「90%以上110%以内」を0%,「110%超120%以内」を+15%,「120%超150%以内を+35%,「150%超200%以内」を+75%,「200%超」を+125%,「昨年同期の予算はゼロ」を+200%に換算して加重平均した。
 四半期のIT関連支出が継続運用費やリース料の支払い,減価償却費のみの場合も,それらの本四半期分の総計額について回答を求めた。外注の開発・運用要員の人件費は含めるが,自社内の開発・運用要員の人件費は含めないものとした。
 分野別のITインフラ系のうち,「情報系システム」はグループウエアや情報共有システム,「ネットワーク系システム」はWAN,LAN,電話,「インターネット系システム」は情報発信,電子商取引,マーケティング関連のシステムを指すものとして回答を求めた。「運用・危機対策系システム」はビジネス・コンティニュイティー関連のシステムも含む。目的別のうち「運用・保守開発」は信頼性向上やコスト・ダウンのための開発を含む運用・保守,ハード/ソフト別での「ソフトウエア購入」の対象範囲はアプリケーションやミドルウエアを指す,と設問に記載している。

図●最新四半期(2007年1月~3月)IT予算の分野別の前年同期比増減率