米連邦取引委員会(FTC)は2008年6月第1週の終わり,独占禁止法(独禁法)違反の疑いでマイクロプロセサ大手の米Intelに対する正式調査を始めると発表した。これまでFTCは,Intelを非公式に調査していてた。

 当然Intelは「何もやましいことはしていない」と述べ,あらかじめ用意しておいた声明で「当社の事業慣行が米国法に則したものだと確信している」との考えを示した。「マイクロプロセサ業界は競争が熾烈(しれつ)で,手を緩められないことが(独禁法に違反していない)証拠だ」(同社)。同社は,2000年から2007年のあいだにマイクロプロセサの価格が40%以上も下がった事実を指摘した。

 なお,FTCの正式調査開始は,Intelが世界中で直面している数多くの独禁法違反容疑の1件に過ぎない。ライバルの米AMDが起こした遅々として進まない係争も抱えている(関連記事:IntelとAMDの独禁法違反トラブル,決着が遠のく)。

 たまたまFTCによる調査開始の発表前日,Intelは市場支配力を乱用したとの理由で韓国公正取引委員会(KFTC)から約2000万ドルの罰金を科せられた。さらに,ニューヨーク州も独禁法違反行為に関する調査を進めているし,日本と欧州連合(EU)の取り締まり当局にも同様の動きがある(関連記事:ニューヨーク州,x86プロセサ市場の独禁法違反行為でIntelに対する本格調査を開始/日本AMDによる対インテル訴訟,東京地裁が公取委に関連資料の提出を要請へ)。独禁法絡みでこれほどの調査を受ける企業は,ここ最近だと米Microsoft以外にない。

 FTCは6月第1週,正式調査を始めるにあたってIntelに召喚状を発行した(関連記事:Intel,マイクロプロセサ市場の独禁法違反調査でFTCから召喚状)。これに対し,Intelは調査に全面協力するとしている。FTCは約2年前から非公式にIntelを調査していた。その発端は,AMDがIntelによる違法行為およびパソコン・メーカーとの独占的契約を告訴したことだ(関連記事:米AMDがx86プロセサの不正販売行為で米Intelを提訴,「38社が圧力の犠牲になった」)。