Take1:
Microsoft,企業に「Windows Vista」移行を説得

 米Microsoftは2008年6月4日(米国時間)は,2010年リリース予定の次期OS「Windows 7」(開発コード名)を待たず,今すぐ「Windows Vista」を導入するよう企業に勧めるため,複数の理由を白書にまとめ発行した(関連記事:Microsoft,企業にVistaへの移行を勧める白書を発表)。

 白書のなかで同社は,Windows 7がWindows Vista用アプリケーション/デバイス互換となるため,「Windows XP」からWindows 7へアップグレードしても,Vista経由に比べ手間が減るわけではない,という重要な理由を挙げた(関連記事:Microsoft,2010年リリース予定の次期OS「Windows 7」はVistaとの互換性を維持)。

 もっとも,公正な立場でMicrosoftを擁護すれば,Windows Vista自体はWindows XPよりも,特にモバイル環境でのセキュリティが大幅強化されるなど,多くのメリットを備えている。さらにMicrosoftは,消費電力や総所有コスト(TCO)といった多種多様なコスト削減というメリットも指摘できる。

 こうしたWindows Vistaそのもののメリットだけでは,メディアによる反Vista報道の波を覆せないのだろうか。言うまでもなく,メリットの説明では不十分なのだ。そろそろMicrosoftは,多少は自社製品の「移行キャンペーン」広告を展開した方がよいかもしれない。

Take2:
IntelとAMDの独禁法違反トラブル,決着が遠のく

 マイクロプロセサ大手の米Intelと米AMDのあいだで,以前から争われている独占禁止法(独禁法)絡みの問題で,決着がまたもや遠のいた。2009年4月のはずだったゴールが2010年2月に延期され,AMDの破産を狙っているらしい。

 裁判官の任命でこの係争を担当している特別補佐人によると,両社が精査すべき証拠の量が膨大で作業に遅れが生じるため,延期になるという。この件で作られる文書の量は,民事裁判所の扱うものとして米国史上最大になると見込まれる。

 ちなみに,韓国では「Intelがパソコン・メーカーなどに不適切な報奨金を提示してAMD製マイクロプロセサの購入を妨げた」というAMDの主張が認められ,Intelの独禁法違反判決が下された。米国でもこれとそっくりな流れで進んでいる。ただし,Intelは「大量発注する顧客に値引きを提示しただけ」と見解を出した。

 お推察のとおり,争いは泥沼化しそうだ。つまり,裁判になれば混乱するだろう(関連記事:Intel,マイクロプロセサ市場の独禁法違反調査でFTCから召喚状/AMD,Intelのx86プロセサ市場独占に関する新情報をデラウェア州連邦地裁へ提出)。