ニューヨーク州の司法長官であるAndrew M. Cuomo氏は米国時間1月10日,x86プロセサ市場における独占禁止法(独禁法)違反の疑いで米Intelを本格的に調査すると発表した。Intelが顧客企業に米AMD製品の不採用を強制したかどうかなどを調べる。

 ニューヨーク州は予備調査の結果,完全で事実にもとづく調査を実施する必要があると判断し,Intelに情報提供を求める召喚状を発行した。Intelが競合企業を排除するために独占的地位を悪用したかどうかと,ニューヨーク州および米連邦の独禁法に違反したかどうかを検討する。

 召喚状では,Intelに(1)ライバルからx86プロセサを購入したコンピュータ・メーカーなどの顧客企業に対する報復措置,(2)ライバル製プロセサ排除を目的とする不正なリベート提供,(3)販売チャネルからの不正なライバル企業の排除という行為があったかなどを調べるため,文書および情報の提供を要求している。

 Cuomo氏によると,世界x86プロセサ市場の規模は年額300億ドル以上あり,Intelが売上高ベースで90%,出荷数ベースで80%を占めているという。

 ニューヨーク州の調査は,AMDがIntelを相手取って起こしている独禁法違反訴訟に関するもの。これまでの経緯は以下の通り。

 AMDは2005年6月27日,x86プロセサの販売活動で独占禁止法に違反したとして,Intelをデラウェア州連邦地方裁判所に提訴した(関連記事:米AMDがx86プロセサの不正販売行為で米Intelを提訴,「38社が圧力の犠牲になった」)。AMDは,「Intelが世界各地で当社の顧客に圧力をかけ,不正に同市場を独占してきた。米/欧州/アジア大陸の大手パソコン・メーカー,小規模システム・ビルダー,卸売業者,小売業者といった38社が圧力の犠牲になった」と主張。AMDは同年7月1日に証拠保全を申し立て,同地裁はこれを認めた(関連記事:米AMD,対Intel訴訟関連の文書保存に関する申し立てが認められる)。

 その後,Intelはデラウェア州連邦地裁に反対意見書を提出し(関連記事:米Intel,米AMDとの独禁法違反訴訟で反対意見書を提出),同地裁はMicrosoftに情報提供を求める召喚状を発行した(関連記事:米AMD,米Intelに対する独禁法違反訴訟で米Microsoftに召喚状)。

 Intelは,欧州と韓国,日本でも同様の調査対象となり,排除勧告などを受けている(関連記事:日本AMDによる対インテル訴訟,東京地裁が公取委に関連資料の提出を要請へ韓国の公正取引委員会,米Intelにマーケティング・プログラム関連の文書提出を要求)。

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