韓国の公正取引委員会が,米Intelに対し同社のリベートとマーケティング・プログラムに関連する文書の提出を要求している。Intel社が米証券取引委員会(SEC)に提出した財務報告の中で米国時間8月8日に明らかにした。同社は,米国内と日本においてもこの問題に関する調査を受けている。

 同社によれば,6月に韓国の市場監視当局は,同国のパソコン・メーカーと行った交渉に関連する資料の提出を同社に求めており,同社はこれに対応しているという。

 同社のライバルである米AMDは,x86プロセサの販売活動で独占禁止法に違反したとして,6月にIntel社をデラウェア州米連邦地方裁判所に提訴している。AMD社は,「Intel社がAMD社のプロセサを排除する目的でマーケティング予算を不正に利用したと」と主張している。

 日本の公正取引委員会によれば,調査を通じて同社がソニー,富士通といった日本の大手パソコン・ベンダーに対して独占契約を強制し,AMD社製品排除を条件としたマーケティング奨励金の支給を行ったことが明らかになった。同社は,この行為について委員会から独禁法違反の排除勧告を受けた。同社は4月,同委員会の主張事実は否定したが,排除勧告を応諾した。日本AMDは6月に,インテルを相手取り公正で自由な競争が阻害され販売機会を逸したとして,総額5500万ドル(約60億円)の損害賠償を求める訴訟を東京高裁および東京地裁で起こしている。

 また,欧州でも同社のマーケティング・プログラムに関して欧州委員会が調査を進めている。7月には,欧州のIntel社とパソコン・ベンダーのオフィスで捜査が行われている。

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