全世界で5000万人以上のユーザーを抱える無料通話・チャットアプリの「LINE」。今や通話やチャットという機能だけでなく、SNSの要素が加わるなどプラットフォームとしての成長が続いている。

 LINEは、これまで通話という機能を担ってきた通信事業者にとっても気になる存在だ。様々な分析やLINE登場の背景についての記事も登場した。

  • [インタビュー]方法論至上主義に警鐘、急成長「LINE」を生んだ企画プロセス
  • 「LINE」プラットフォーム化の威力と「iモード分離」という思考実験
  • 「LINE」で“変わる”通信業界
  •  さらにLINEがこれほどまでに注目を集める理由として、個人ユーザーだけでなくコンシューマ向けビジネスを展開する企業がBtoCのツールとして活用し始めている点が挙げられる。その一つがチャット(LINEでは「トーク」と呼ぶ)を活用した集客だ。

     LINEの「友だち」は個人的な知り合いだけでなく、法人なども加えることができる(写真1)。例えば、コンビニエンスストアのローソンを友だちとして登録すると、LINEのチャットの仕組みを使って、割引クーポンなどの情報が送られてくる。また、アーティストなどの著名人も公式アカウントを設けており、「友だち」として追加すると、ライブ情報などが得られる。

    写真1●法人を「友だち」登録
    写真1●法人を「友だち」登録
    「トーク」を利用して、割引クーポンの情報などが送られてくる
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    写真2●スタンプで「トーク」
    写真2●スタンプで「トーク」
    企業がキャンペーンとして「スタンプ」を提供することもできる
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     また、LINEの「トーク」で使われる「スタンプ」(写真2)も企業がマーケティングやプロモーションに利用し始めている。スタンプはそもそもユーザー同士がテキストの代わりに、気軽なコミュニケーションを図る目的で送るものだ。

     スタンプは当初からアプリに用意されているもののほか、別途自分の好みのデザインやキャラクターのスタンプをアプリ内で購入できる。それらに加え、企業がイベントなどのキャンペーンの一環として、一定期間だけ利用できるスタンプを提供している。なお無料アプリであるLINEが「App Store」や「Google Play」といったアプリマーケットで売上ランキングにランクインする理由は下記連載記事で解説している。

     ここまでLINEの話題に終始したが、LINEのほかにも様々なコミュニケーションアプリが存在する。昨年米マイクロソフトが買収した「Skype」が“老舗”として挙げられるだろう。老舗とはいえ、スマートフォンへの展開や「Outlook.com」といったWebメールサービスとの統合も進んでいる。

     Skypeは元々パソコン向けのサービスとして登場した。一方、昨年から今年前半にかけて登場したコミュニケーション系アプリやサービスは、当初からスマートフォンをターゲットとしている。次ページではそれらの中の代表的なものを見ていこう。