EU(欧州連合)をはじめ、オーストラリアやカナダ、韓国など世界110カ国以上で利用されている会計基準がIFRSだ。IFRSは「International Financial Reporting Standards」の略で、「国際会計基準」あるいは「国際財務報告基準」と訳すことが一般的である。企業の会計基準に関する監督官庁である金融庁は「国際会計基準」と訳している。「イファース」あるいは「アイエフアールエス」と読むことが多い。

 IFRSが目指すのは世界共通で利用できる会計基準である。会計基準とは「企業が活動した結果を数字(金額)で把握できるようにするための尺度」であり、企業の財政状態を正しく伝えるための“物差し”といえる。

 世界各国の企業が同じ会計基準を利用して財務報告を作成すれば、投資家や債権者、取引先といった企業を取り巻くステークホルダー(利害関係者)は企業の活動を把握しやすくなる。企業活動を測定する物差しを統一しようというのがIFRSの目標である。

 IFRSは民間団体である「国際会計基準審議会(IASB)」が策定している。IASBは日本を含む各国からのメンバーで構成する。議長を除く14人の理事のうち1人が日本人だ。

 2011年4月現在の日本人理事である山田辰己氏の任期は、11年6月末日までである。11年7月1日からは5年の任期で鶯地隆継氏(11年4月現在は、住友商事フィナンシャルリソーシズグループ長補佐)が務めることが決まっている。

 IFRSはもともと欧州で生まれた会計基準である。IASBの拠点は英国に置かれ、IFRSの採用も欧州が先行している。05年にEU諸国が、IFRSを自国の会計基準として採用する強制適用(アドプション)を開始。オーストラリアも05年に強制適用を始めた。

 その後、世界各国が相次ぎ採用を表明し、11年にはカナダや韓国がIFRSの強制適用を開始している。12年以降はタイやインドネシアといったアジア諸国でも強制適用を予定している。

[関連記事]