ソフト分野で2011年に注目したいITキーワードは、スマートフォンとクラウド関連がトップ10を占めた。2010年に注目したキーワードで2位と3位だったAndroidとHTML5は、2011年にはiPhone/iPadを抜き1位と2位に躍り出た。

表1●2011年に注目したいソフト開発分野のITキーワード
表1●2011年に注目したいソフト開発分野のITキーワード(有効回答数=3327)
(有効回答数=3327)
表2●2010年に注目したソフト開発分野のITキーワード
表2●2010年に注目したソフト開発分野のITキーワード(有効回答数=3327)
(有効回答数=3327)

スマートフォン関連が上位に並ぶ

 1位に「Androidアプリ」、3位に「iPhone/iPadアプリ」、6位に「Windows Phone 7」、そして10位に「アプリマーケット」と、2011年のITキーワードはスマートフォン関連が上位に並んだ。

 Androidアプリが1位になった理由は、やはりその急成長ぶりだろう。2010年は、前年に1機種しかなかったAndroidスマートフォンが一気に十数機種へと急拡大した年だった(『2010年秋冬のAndroidスマートフォン14機種レビュー』)。テレビや街中でもAndroidスマートフォンの宣伝があふれる。

 世界ではすでにAndroidの販売台数がiPhoneを上回っている(『2010年Q3の世界スマートフォン市場、「Android」が2位、「iOS」が3位に上昇』)。2011年の1月6日から9日にかけて米国ラスベガスで開催された「International CES」では、膨大なAndroid端末が展示された(『CES 2011に見るAndroidの最前線』)。2011年もAndroidの急成長が続きそうだ。

 とはいえ累計ではまだAndriodはiPhoneのユーザー数に及ばない。そして2010年に登場し、あっという間にタブレットという製品ジャンルを定着させたiPad(『「タブレット市場」がついに誕生』)を引き合いに出すまでもなく、米Appleは新しいカテゴリ、新しいユーザー体験をもたらしてきた。

 その革新をもたらしてきたカリスマ、Steve Jobs最高経営責任者(CEO)は1月17日、病気療養のため休職すると発表、その健康状態に世界中の注目が集まっている(『AppleのJobs CEOが病気療養で休職、復帰時期は「できるだけ早く」』)。

 Microsoftも黙ってはいない。同社の「Windows Phone 7」は、2010年11月の北米での発売開始後、搭載スマートフォンが販売開始後6週間で150万台以上出荷されたという(『Windows Phone 7端末が発売後6週間で150万台突破---販売店への出荷台数』)。2011年は日本での動向が注目される。

 アプリマーケットの動きも急だ。AppleのApp Storeには約30万本以上のアプリが登録されており、現在も急増が続いている(『先行するApp Store、20万超のアプリが公開』)。GoogleのAndroidマーケットも10万本以上と、App Storeを追う。AndroidではGoogleだけでなく、NTTドコモのドコモマーケットやKDDIの「au one Market」、NECビッグローブの「andronavi」など様々なプレーヤーがアプリマーケットを開設している(『多様化が進むAndroid向けアプリマーケット』)。

 従来型携帯電話でもアプリマーケットが動き出している。NTTドコモはiアプリ版のドコモマーケットを2010年12月に開設した(『ケータイもアプリ、iモード版ドコモマーケット始動』)。

重要な技術になるHTML5

 2位になったHTML5も、2011年には本格的な普及が始まりそうだ(『ブラウザーで何でもできる世界へ - 次世代Web仕様「HTML5」の衝撃』)。W3Cで策定されている標準技術で、クライアントアプリケーションに匹敵するユーザーインタフェースをWebブラウザだけで実現できる。ITproでも、HTML5で制作した電子雑誌「ITpro eMagazine」を発行した。電子書籍分野でも重要な技術になるだろう。

開発基盤として定着したクラウド

 4位の「Google App Engine」、5位の「Windows Azure」、7位の「Amazon EC2/S3」と、クラウド基盤が2011年の注目キーワードに顔を揃えた。いずれも、すでに開発基盤として定着したと言える。2011年は、さらに大規模な事例や、信頼性・可用性を要求される用途への適用が始まりそうだ。

 ITproではこれらのクラウドサービスを解説した記事を多数用意している。Google App Engineを使ってみたい方は『Google App EngineでWebアプリを公開してみよう』、Amazon EC2の実力を知りたい方は『検証!Amazon EC2:ITpro』、Windows Azureについて学びたい方は『Windows Azure活用法』などをぜひ参考にしていただきたい。