iPhoneの独壇場であったスマートフォン市場も、最近では「GALAXY S」や「IS03」などの登場によって「Android」を搭載したスマートフォンが急速に増え、変化の兆しが見え始めている。

急速な広がりを見せるAndroid、アプリ数は13万を超える

写真1●Android向けのアプリマーケット「Androidマーケット」
写真1●Android向けのアプリマーケット「Androidマーケット」
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 そのAndroid向けに提供されているアプリマーケットが「Androidマーケット」である(写真1)。Android自体、米グーグルが主導となって開発が進められているということもあり、他のマーケットと比べてアプリ開発の自由度が高い。搭載端末が増加していることもあって、アプリ数も急激に増えており、2010年12月8日時点で13万を超えている(AndroLib調べ)。

 Androidマーケットも、前回の「先行するApp Store、20万超のアプリが公開」で解説した米アップルのApp Storeと同様に、個人・法人を問わずアプリを提供できる。マーケット上でアプリを配信するには開発者登録が必要だが料金は25米ドル。しかも他のマーケットと異なり年単位ではなく、一度支払うだけでよい。参入へのハードルはかなり低いといえるだろう。

 実質的な審査がなく、手続き後にすぐ公開できる点も、申請待ちの必要がある他のマーケットと比べた場合のメリットといえる。ただしアルコールやギャンブル的要素を含むものや、位置情報を使用するものなどは、レーティングの設定が必要なほか、違法性のあるものや著作権・肖像権を侵害するもの、18歳未満にふさわしくないもの(ポルノなど)などは、それが判明した時点でマーケットから削除されることとなる。

 決済にはグーグルの決済サービスである「Google Checkout」が用いられる。日本から利用するにはクレジットカードが必須となる。アプリの収益分担はApp Storeと同様で、グーグルが3割の手数料を徴収し、7割が開発者に入ることとなる。課金方法はダウンロード課金のみだが、開発者が独自で課金システムを設けることにより、アプリ内で課金することができる。

 ただし、開発する上で注意が必要な点もある。Androidはさまざまな機器に搭載されているため、CPUやメモリー、画面サイズといった基本スペックだけでなく、ハードキーボードやトラックボールの有無、さらにはOSの細かいバージョンなど、端末によって多くの違いが生じている。そのためアプリの開発に際しては、さまざまなデバイスでの利用を前提とするか、端末を絞り込むかの判断が必要となる。

レコメンド情報はApp Store以上に少ない

 Androidマーケットは前述したような開発の自由度の高さが最大の特徴であるが、それだけにビジネスの場と考えた場合、App Store以上に難しい要素が多数存在する。

 レコメンド情報はApp Store以上に少なく、トップや各カテゴリーにお薦めのアプリが表示されるのみ。ランキング専用のコーナーも用意されておらず、アプリを探すにはカテゴリー別の一覧と、キーワード検索が頼りとなってしまう。マーケットには英語だけでなく、中国語や韓国語のアプリも目立ち、13万を超えるアプリの中から特定のアプリを探すのはかなり難しい状況だ。

 しかもApp Storeと比べ、無料アプリが占める割合が高い。App Storeでは有料のアプリもAndroidマーケットでは無料で提供されていることが多く、ユーザーが支払いに至るまでのハードルはより高いといえよう。さらに言うなら、他のマーケットよりも審査が緩いことから、特にエンタテインメント系ではゲーム機のエミュレーターなど、著作権法上グレーな要素を含むアプリが多いということも問題の一つに上げられるだろう。

 こうしたハードルを越えてユーザーが有料アプリにたどりついたとしても、購入にはクレジットカードが必須。さらにAndroidマーケットには24時間以内にアプリをアンインストールすることで、1回だけ払い戻しができるというルールが設けられていた(図1)。

図1●Androidマーケットにおける有料アプリ購入のプロセス
図1●Androidマーケットにおける有料アプリ購入のプロセス
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