明るい指標もちらほら出てきたが,景気の底はまだ見えない。好調なのはユニクロやネットブックに象徴される“お値打ちもの”ぐらい。企業のIT投資が上向くのはもう少し先になりそうだ。電子情報技術産業協会(JEITA)によると,2008年度(2008年4月~2009年3月)のサーバー出荷台数はほぼ2割減。主力のIAサーバーが復調するのは2010年度以降という。
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一方で一部のITベンダーは景気回復後をにらんで動き出した。各社が積極投資を続けているのがデータセンター分野。昨年来,データセンターの新設や拡充計画の発表が相次いでいるが,その動きはいまだに衰えていない。6月に入ってからも,電通国際情報サービス(ISID)がデータセンター専業のビットアイルとの資本提携を発表。KDDIも都内に拠点を新設した。
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各社の積極投資の背景にあるのは,企業マインドの変化。今回の不況を乗り越えたあと,システムインフラの自社保有にこだわってきた日本企業もクラウドコンピューティングに本格的に移行し始めるとの読みが各社の背中を押している。クラウドを下支えする仮想化ソフトや関連ミドルウエアもどんどん進化している。高い信頼性を求められる基幹系システムをデータセンターに設置した仮想化サーバーで動かすことも現実味を帯びてきた。
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一つだけ気になるのは,クラウドへの移行がどの程度のペースで進むか。ITベンダーの思惑よりゆっくり移行が進むようだと,完成したデータセンターに閑古鳥が鳴いたネットバブル崩壊時の二の舞になりかねない。