いきなり年の話で恐縮だが,筆者はもうすぐ44歳になる。IT業界の記者をやって,もう20年以上だ。正直言って,最近は昔のようにわくわくすることが少なくなったと感じる。いろいろな新製品が次々と登場するものの,自分で買って試してみたいと思うことは滅多になくなっているのだ。

 「IT業界もマンネリ化してきたから」とそもそも魅力的な商品が出てこないと業界のせいにする半面,「単に自分の感性が年のせいで鈍ってきただけかも」と寂しく感じることもあった。だが,今年になってちょっと様子が違ってきた。いろいろと楽しみな製品やサービスが登場してきたからだ。

Windows 7を日常的に使ってみたいが…

 まず1つは,米Microsoftが開発中の次世代クライアントOSである「Windows 7」である。今年に入ってベータ版が公開されてからは,ITproをはじめいろいろなところで取り上げられているのでほとんどの人は知っているだろう(参考記事:[CES2009]Windows 7ベータ版を公開)。

 Windows 7については,公開されたベータ版の評判がすこぶるいい。評判の悪かったVistaに比べ,少ないリソースで軽快に動くというもっぱらの評判だ(参考記事:「Windows 7」は数え切れないブラッシュアップで見違えるほど洗練されている)。OSカーネルは基本的にVistaと同じものを使いながら改良を加えているからか,完成度も高く目立ったトラブルの話も聞こえてこない。中には,「もういつ出荷してもいい」という人もいるくらいだ(参考記事:「Windows 7」の早期リリースを求める署名が2700超も集まる)。

 もちろんWindows担当の筆者は,すでにWindows 7をインストールして,いろいろと試用してはいる(参考記事:Windows 7の日本語ベータ版をインストールしてみた)。だが,それはあくまで仮想環境など,テストを前提にしてのもの。OSとしての本当の実力は,やはり日常的に使ってみないとなかなか実感できない。「日頃から使っているソフトがはたしてどのくらい使えるのか」「日常的に使ってみて不満な点はないのか」。今すぐにでも実用的に使えそうな高い評判を聞いた筆者は,「本当にそんなに使えるのか」を実際の環境で使ってみたくなった。

 ところが,実際に日常的に使うというのはそう簡単ではない。まずインストールするハードウエアがない。現在,筆者は仕事で3台のパソコンを使っているものの,これらを流用するのは難しそうだ。メインで使っているVistaパソコンを,いきなりWindows 7にアップグレードするのはさすがに抵抗がある。いくら評判がいいとはいっても,しょせんはまだベータ版。何らかのトラブルが発生する危険性は高いし,おそらく使えないソフトやハードも出てくるだろう。もしそれが仕事上で致命的な部分に発生すると影響が大きすぎる。

 そのほかの2台もメモリーやディスクの空き容量が少なかったり,消せないデータが入っているなど,Windows 7を入れるのは難しそうだ。そもそも会社の規定でテスト環境のパソコンを会社のネットワークにつなぐことは禁止されている。

モバイルWiMAXと併用してみよう

 そうこう悩んでいるところに,今度はUQコミュニケーションズから「UQ WiMAX」の正式発表があった(参考記事:UQがモバイルWiMAXサービスを2月下旬から試験開始モバイルWiMAXサービスは“買い”か?)。UQ WiMAXとは,下りで最大40Mビット/秒という高速な通信を実現するモバイルWiMAXという技術を使った新しいデータ通信サービスである。もちろんこの40Mビット/秒というのは理論値だが,数Mビット/秒くらいのADSL程度の通信速度は期待できそうだ。しかも,2月26日のサービス開始から6月30日までは,お試し期間として無料で利用できる。これは,ぜひとも試してみたいところだ。

 と考えたところで,筆者の中でこの2つが結びついた。「だったら,最近評判のNetBookのような手頃なノート・パソコンを買って,この両方を一緒に使ってみればいいのではないか」と考えたのだ。ノート・パソコンにWindows 7を入れて,ネットへの接続にはUQ WiMAXを使う。これなら興味のあるもの2つが一緒に試せて一石二鳥である。会社のネットワークも使わないので,Windows 7を日常的に使っていても問題ない。

 そう思いついた筆者は,さっそくUQコミュニケーションズのモニターに応募してみた。続いて,近所の家電量販店に行き,ノート・パソコンを見て回った。そこで目に付いたのは,これまた今年の注目を集めているソニーのVAIO type Pだ。いくらVistaよりもリソースが少なくてよさそうといっても,Vistaを使っている経験では最低でも2Gバイト程度のメモリーはあったほうがよい。この条件を満たす手頃な価格のノート・パソコンで店頭に並んでいたのは,このパソコンくらいしかなかったのだ。

 Windows 7とUQ WiMAXに,さらにVAIO type Pと今年の注目が3つも集まるという環境を想像して,筆者のボルテージは一気に上がった。VAIO type PでWindows 7を動かしながら,UQ WiMAXでネットに接続する自分を想像すると,なんだか格好いい。

 そのまま「これ買います」と言いかけたが,筆者は高まる気持ちをひとまず抑えた。「UQ WiMAXのモニターに選ばれないかもしれない」「やっぱりもっとディスプレイの大きなノート・パソコンのほうがいいかも」「そもそもうまく組み合わせて動かないかもしれない」。いざとなると,いろいろな考えが頭をよぎったのだ。

 ということで,現在はとりあえずUQ WiMAXのモニターに関する結果待ちをしているところである。この結果は2月下旬に通知されるとのこと。無事に選ばれた際には,いよいよパソコンを購入して試してみるつもりだ。その経過については,ITpro上で随時報告していきたい。ついては,「こういうパソコンのほうがいい」「こうすればうまくいく」「ここはどうなっているんだ」「こういうことを試してもらいたい」などなど,ぜひ読者の皆様のご意見をお聞かせ願いたい。