写真1 UQコミュニケーションズの田中孝司社長
写真1 UQコミュニケーションズの田中孝司社長
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写真2 発表会の席上で見せたUQ WiMAXの実効速度。下り16.378Mビット/秒,上り3.903Mビット/秒を記録していた。
写真2 発表会の席上で見せたUQ WiMAXの実効速度。下り16.378Mビット/秒,上り3.903Mビット/秒を記録していた。
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写真3 上からPCカード(NECアクセステクニカ製),USB接続(韓国MODACOM開発,シンセイコーポレーション製),USB接続(NECアクセステクニカ製),ExpressCard型(韓国MODACOM開発,シンセイコーポレーション製)のモバイルWiMAX端末。価格は1万2800~1万3800円。販売奨励金などは含まない値段であり,「端末の原価は(携帯電話などと比べると)とても安い」(田中社長)とのこと。
写真3 上からPCカード(NECアクセステクニカ製),USB接続(韓国MODACOM開発,シンセイコーポレーション製),USB接続(NECアクセステクニカ製),ExpressCard型(韓国MODACOM開発,シンセイコーポレーション製)のモバイルWiMAX端末。価格は1万2800~1万3800円。販売奨励金などは含まない値段であり,「端末の原価は(携帯電話などと比べると)とても安い」(田中社長)とのこと。
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写真4 試験サービス開始当初の東京中心部のエリア。青い部分がカバーしているエリアであり,緑,黄色,赤となるに従って電波状態が悪くなる。中心部でもまだカバーできていないエリアが一部あることが分かる。
写真4 試験サービス開始当初の東京中心部のエリア。青い部分がカバーしているエリアであり,緑,黄色,赤となるに従って電波状態が悪くなる。中心部でもまだカバーできていないエリアが一部あることが分かる。
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 UQコミュニケーションズは2009年2月3日,モバイルWiMAXを使ったデータ通信サービス「UQ WiMAX」を2月26日から試験開始すると発表した。当初のエリアは東京23区と横浜市・川崎市の一部。6月30日までの試験サービス期間は,希望するモニター5000人に対して端末を無償で貸し出し,サービス料金も無料とする。7月1日からは本サービスを開始。料金プランは定額制で使い放題となる「UQ Flat」のみで,月額料金は4480円となる。

 UQコミュニケーションズの田中孝司社長(写真1)は,新たに開始するモバイルWiMAXサービスについて,「(これまで携帯電話事業者などが提供していた)なんちゃってモバイル・ブロードバンドではない,真の制限のないサービスを提供する」と意気込みを語った。実際,発表会の壇上で見せた実機デモでは,下り16.4Mビット/秒程度,上り3.9Mビット/秒の実効速度を見せた(写真2)。

 端末はUSB接続タイプ,PCカードタイプ,ExpressCardタイプなど4機種を用意(写真3)。価格は1万2800円から1万3800円となる。「当初はUQブランドが付いた端末を用意したが,2009年夏以降にはモバイルWiMAXの通信機能を内蔵したノート・パソコンなどが続々登場すると予想する。UQ WiMAXはこのようなリテール品もサポートするため,今後はUQブランドの端末は少なくなっていく」(田中社長)という。

 エリアの準備状況は,試験サービス開始時には東京23区,横浜市・川崎市の一部に500局程度の基地局配備が完了する見込みという(屋内基地局を含まず)。同社に出資するJR東日本の協力も得て,JR山手線内,京浜東北線(品川~横浜)の44駅のホーム,コンコースにもWiMAXの基地局を設置する。ただ実際にはエリアの穴が存在しているといい(写真4),本サービス開始までにエリアのさらなる整備を急ぐ計画。

 UQのWiMAXで当初カバーできないエリア用の対策として,公衆無線LANサービス「UQ Wi-Fi」もオプション・サービスとして2009年秋から提供する。利用料金は無料。空港や鉄道など主要交通機関にて利用でき,東海道新幹線内では前倒して3月14日から利用可能になるという。

「本命は組み込みデバイス。組み込み開発のしやすさがWiMAXの強み」

 モバイル通信の高速化については携帯電話各社も,2010年以降に100Mビット/秒超の速度を可能にするLTE(long term evolution)を導入する計画。LTEとモバイルWiMAXの違いについて田中社長は,「LTEは電話の延長上の規格でSIMカード・ベースで制御している。WiMAXは無線LANの延長上の規格でインターネットとの親和性が高いが特徴」と語った。このような違いは特に組み込み機器の分野で,WiMAXの強みとして出せるという。「組み込み機器に携帯電話の通信機能を内蔵するには,ダイヤルアップの制御が必要で開発のハードルが高く,端末の料金も高騰してしまう。それに対してWiMAXは,MACアドレスで制御できるので開発のハードルが低く,端末の単価も安くできる。将来的に組み込み機器の通信モジュールは,すべてモバイルWiMAXになっていくのではないか」(田中社長)との見解を述べた。

 なお同社は自社でのサービス展開に加えて,MVNO(仮想移動体事業者)向けにもモバイルWiMAXのインフラを貸し出す。多彩な事業者が参画しているといい,このような事業者によるサービスも試験サービス期間中に一部出てくる見込み。ちなみにMVNO向けの提供料金は,2008年11月に発表済みだ(関連記事)。

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