サヴィス・コミュニケーションズ(米Savvisの日本法人)は、企業情報システム(エンタープライズ)を対象にITインフラの運用アウトソーシング事業を手がけるデータセンター事業者である。2012年からは仮想環境(VMware)によるクラウド型サービスにも注力している(関連記事:サヴィス、クラウド型のITインフラ運用アウトソーシングを開始 )。日本法人の社長に就任した沼田治氏に、国内における今後の事業展開について聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro


今回社長に就任したが、ユーザーから見てサヴィスの事業は変わるのか。

サヴィス・コミュニケーションズ社長の沼田治氏
サヴィス・コミュニケーションズ社長の沼田治氏

 Savvis(サヴィス)は、海外では有名だ。アウトソーシングやマネージドホスティングの分野では世界で1位、データセンター事業では米国で2位の評価を得ている。現在では仮想化技術を生かしたIaaS型のクラウド事業も展開しており、こちらの評価も高い。

 一方で、日本では名前すら知られていない。ハイタッチ営業も可能だが、営業にかけるリソースが少ない。だから、国内のSI(システム構築)ベンダーとのパートナーシップを最大限に活用することにした。SIベンダーの力を借りて案件を確保し、サヴィスの名前を露出していく方針だ。

 ただし、SIベンダーにサービスを降ろすだけの立場ではない。サヴィスはSIベンダーではないのでシステム構築全体の総合窓口にはなれないが、アウトソーシングとデータセンターの活用に関するノウハウの部分では、SIベンダーをリードしながらサヴィスみずから顧客と会話することになる。

どのようなSIベンダーと、どのような協力体制を組むのか。

 2種類のSIベンダーを想定している。一つは、日立システムズのような自社でデータセンター設備を所有している大手ITグループ企業だ。もう一つは中堅規模のSIベンダーで、こちらはアプリケーションの開発に主軸を置いており、運用のためのデータセンター設備を自社では所有していない。

 大手SIベンダーにとってサヴィスと組むメリットの一つは、サヴィスが保有しているソフトウエアベンダーの認定を引き継げることだ。例えば、独SAPの認定(ホスティングパートナーやクラウドパートナーなどの認定)を持てば、SAPのユーザーにアピールできる。サヴィスはソフトウエアベンダーの認定をすでにいくつか持っているので、サヴィスと組めば、新たに認定を受ける必要がない。

 一方、中堅SIベンダーにとっては、そもそも大規模なデータセンター設備や運用アウトソーシングのリソースを持たないので、サヴィスと組むことで、これらを補完できる。中堅SIベンダーにとっての本分は、コンサルティングやアプリケーションの受託開発であり、カットオーバー後のシステムの運用設備に投資している企業は少ない。

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