以下の記事は2007年から2010年にかけて日経ソリューションプロバイダ、日経コンピュータに連載された記事の1つです。執筆時の情報に基づいており、取り上げた製品・サービスには現時点で古くなっているものもありますが、商談の経緯を知ることはユーザー企業にとって有益と考え、再掲しました。
クレディセゾンは今年9月にネット会員分析システムを稼働させた。この案件を受注したのは、それまで付き合いのなかった電通国際情報サービス(ISID)である。ISIDの営業担当者は、顧客が潜在的に求めていたシステムは何かを掘り起こし、逆提案した。
「急ですみませんが、明日打ち合わせをお願いできませんか。これまでとは別の案件で、相談したいことがあります」。電通国際情報サービス(ISID)のビジネスソリューション営業1部に所属する中島裕也に、クレディセゾンから電話がかかってきた。2009年12月24日のことだ。
翌朝、中島は東京・池袋にあるクレディセゾン本社を訪問。クレディセゾンのネットビジネス部開発企画課の大貫信也から、“別件”の内容を聞いた。
「ネット会員情報を分析するシステムを作り直す計画を優先させることを決めました」。大貫は中島にこう告げた。
「新システム構築に当たっては、中島さんに先日紹介してもらったBI(ビジネスインテリジェンス)ソフトが使えるのではないか、と思っています。提案書と見積書を、1カ月以内に提出していただきたいのです」。中島は大貫の急な依頼に少々戸惑いながらも、「信頼されつつあるようだ」と新規顧客の開拓に手応えを感じた。