デルは2019年6月4日、AI(人工知能)処理専用サーバー「Dell EMC DSS 8440」を発売すると発表した。特徴は米エヌビディア(NVIDIA)製GPU(画像処理半導体)「NVIDIA Tesla V100」を最大で10個搭載できる点だ。特にAIを使った機械学習の処理時間短縮が見込めるという。「デルは今後もGPUなどを使って高速に処理するアクセラレーテッドコンピューティングに注力する。今回はその第1弾だ」。製品発表会で上原宏インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括製品本部長はこう意気込んだ。価格は最小構成で1940万7219円(税抜き、配送料込み)。

新製品のAI専用サーバー「Dell EMC DSS 8440」
新製品のAI専用サーバー「Dell EMC DSS 8440」
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デルの上原宏インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括製品本部長
デルの上原宏インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括製品本部長
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 DSS 8440はGPUを搭載する以外にも、各所を機械学習に最適化した。例えば内蔵ストレージがボトルネックになるのを防ぐため、NVMe SSDやSAS/SATA SSDを搭載している。デルの谷本剛インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括システムエンジニアは「2019年後半にはよりAI処理に向いたGRAPHCORE IPUを搭載できるモデルも出荷する」と語った。GRAPHCORE IPUは英ベンチャー企業のグラフコア(Graphcore)が開発中のAI処理専用の超高速チップで、同社には米デルや韓国サムスン電子が出資している。

 電子情報技術産業協会(JEITA)が2019年5月28日に発表した統計では、2018年度における国内のIAサーバー出荷台数は前年度より5%減ったが、出荷金額は同10%伸びた。これは機械学習やビッグデータの処理などのニーズが高まり、利用者がサーバーに高度な性能を求めるようになったためだ。デルの上原本部長は「サーバーの販売台数は大きな伸びを見込めないが、1台の単価を高く設定できる高速化・高度化の付加価値で勝負していく」と話し、今回のDSS 8440もまさにその流れを受けた新製品といえる。