「これからはモバイルの時代」だと言われ続けて久しいが、これまでなかなか、その勢いを強く実感することは多くなかったように思える。しかし、ここ1~2年でそんな傾向が大きく変わってきたことは、以前にも本連載で触れた(参考記事:「消費者によるデジタル端末の利用時間増に反応、止まらない米広告のモバイルシフト」)。

 ここでは2016年第1四半期の米国インターネット広告市場が、急激なモバイルへのシフトにより「過去最高の収益」を挙げており、2020年にはインターネット広告市場の半分はモバイル広告によって成り立つと予測していた。そして英広告代理店ZenithOptimedia社が毎年発表している「Advertising Expenditure Forecast」では、その時期はもう少し早くやって来るという。その時期は2017年。つまり来年だ。

 この調査では、2017年の全世界のモバイル広告費は993億ドル(約10兆円)と予測し、デスクトップPCに向けた広告費(974億ドル=約9兆8000億円)を上回るとする。もう来年には、インターネット広告の半分以上が、モバイル広告で成り立つということだ。モバイル広告市場の急激な伸びを受けて、当初予測を見直した結果だという。

 モバイル広告市場が急激な伸びを見せた背景には、消費者の利用端末がデスクトップPCからモバイル端末にシフトしたことがある。ZenithOptimedia社が「Advertising Expenditure Forecast」に先立って発表した「Media Consumption Forecasts(編集注:PDFダウンロード)」では、消費者のインターネット接続でのモバイル端末とデスクトップPCの利用割合は、7対3とモバイル端末が圧倒的に優勢となったとしていた。

 これはモバイル広告が伸びただけではなく、デスクトップPC広告市場の落ち込みも同時に起こっていることを意味する。実際、デスクトップPC広告市場が、そのピークを迎えたのは2014年で、その市場規模は989億ドル(約9兆9500億円)だった。

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