先週(2016年6月上旬)、米国のインターネット広告標準策定団体であるInteractive Advertising Bureau(IAB)がこんな発表をした。2016年第1四半期(1~3月)の米国のインターネット広告市場が「過去最高の収益を上げている」――。

 IABは、1996年からコンサルティング会社の米プライスウォーターハウスクーパース(PwC)と共同で、毎年米国のインターネット広告の市場動向を発表している。2016年の第1四半期のインターネット広告による収益は約159億ドル(約1兆7000億円)となり、過去最高の売上高を記録したという。2015年第1四半期の約132億ドル(約1兆4100億円)に対して21%の増加を見せたが、この伸び率も過去4年間で最大となっている。

 IABはこの数字を、「消費者のデジタル端末への接触時間が増加し、広告主企業がインターネット広告を重要視するようになった結果である」と評価する。2015年に初めて500億ドル(約5兆3400億円)を突破したインターネット広告市場の伸びは、今後もさらに加速するだろうと見ている。

 実際、本調査を共同で実施したPwCは、ちょうどIABの発表に合わせるような形で「Global entertainment and media outlook」の米国版を発表していた。そこでは「2017年の米国のインターネット広告収益は、753億ドル(約8兆500億円)となり、テレビ広告の747億ドル(約7兆9900億円)を上回る」という。

 世界全体で見ると、2016年にはインターネット広告市場がテレビ広告市場を規模で上回ると予測している。米国が世界全体の動きよりも1年遅くなるのは、2016年のリオデジャネイロオリンピックと米大統領選挙で、米国内のテレビ広告の需要が下半期に急激に膨らむと予測されているからだ。

 インターネット広告市場が急激に成長している背景には、IABが「消費者のデジタル端末への接触時間が増加している」と指摘しているように、モバイル広告の伸びが非常に大きく影響している。

 米国では2015年のモバイル広告の市場規模はインターネット広告市場全体の約35%であり、これは対前年比の25%増となっている。この伸びは今後も続くことが見込まれており、2020年にはインターネット広告市場の約半分(49%)は、モバイル広告によって成り立つだろうといわれている。

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