米国のB2B企業が2017年ころから、Eコマースとコンテンツマーケティングに対する取り組みに、これまで以上に力を入れるようになった。特にB2B企業のEコマースの活況ぶりについては、2018年3月米eMarketerが、わざわざ『B2B Ecommerce 2018』と題して特集記事とレポートを公開したほどだ。

 これまでも「米国ではB2B企業でのEコマースが活況を呈している」という話は少なからず語られてきた。特に2017年ころからの流れは、市場にも数字という形ではね返ると予測されている。

 米調査会社Forrester Researchが2017年6月に発表した予測によると、2017年の米国B2B企業のEコマースによる売り上げは、約8890億ドル(約94兆5800億円)に達していた。それが2021年には、約1兆2000億ドル(約127兆5200億円)に拡大し、米国B2B企業全体の売り上げの13%に相当する規模になるという。

 これだけ企業がEコマースへシフトしている理由とされているのは「既存顧客との取り引きプロセスの省力化と効率化」である。顧客企業側には「デジタルの方が簡単だから」、あるいは「担当営業のコンタクトを待たなくてもよいから」といったニーズが多く存在している。顧客を失わないためにはそのニーズに対応せざるを得ないという、企業側の切実な現状がある。

 eMarketerのレポートによると、北米B2B企業の役職者の90%以上は「Eコマースがクリティカルなものだ」と考えている。もはや米国B2B企業にとってEコマースは、「あると有利になる」ものではなく「無いと不利になる」ものへと変わっているのだ。

 北米B2B企業のEコマースへのシフトは、既存顧客のニーズへの対応だけが目的ではない。Eコマースによって「より簡単な新規顧客の獲得」や、「既存顧客へのクロスセルやアップセル」といった効果を期待している。

 とはいえ、単に取引窓口をEコマースへとシフトするだけでは新規顧客は獲得できないし、売り上げも向上しない。そこでB2B企業が盛んに取り組み始めているのが「コンテンツマーケティング」だ。

 2017年11月にForrester Research社が「CMP(Contents Marketing Platform)」に関するレポートを発表した。レポートによれば、2014年から2016年にかけてCMPを提供している主なベンダーの経常収益は約3倍と大きく成長している。

 なお同社はCMPを、「社内外のコンテンツクリエイター、キュレーター、配信者からなるマーケティングチームによって、コンテンツ戦略における膨大かつ同時進行する作業の組織化とコラボレーションを支えるソリューション」と定義している。CMPはいわゆるブランドコミュニケーションのためのウェブサイトやブログ、SNSから、コンテンツマーケティングを目的としたオウンドメディアやメールまで、活用される範囲は幅広い。

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