米デルコンピュータ社の創業者であるマイケル・デル会長兼CEO(最高経営責任者)が、2001年5月11日都内で会見した。米国でパソコン市場全体が冷え込む中で、デルコンピュータ社は、インターネットなどを活用した「デルモデル」と呼ぶ直販ビジネスで成長を持続していると強調。デル会長は「他社はデルモデルを模倣しようとして失敗している」と言い切った。

 現在全世界で、デルコンピュータ社のネット販売の比率は約50%に上る。個人向け市場では、約60%をネットで販売する。ネットを使ったサプライチェーン・マネジメントを導入しており、平均在庫は5日間である。「パソコンの価格は1週間に1%ずつ下落するほど足が早い。他社は40~50日分の在庫を抱えており、店頭流通を含めれば80~90日になることもある。これではデルにかなわないだろう」(デル会長)。

 米IDC社の調べでは、2000年1月から12月までのサーバー市場で、デルコンピュータ社は売り上げを35.7%増やしたのに対し、デル以外の各社は前年比11.8%増にとどまった。デスクトップ市場では、デルコンピュータ社は27.1%の成長を遂げた一方で、デル以外の各社は2.0%売り上げを減らしている。

 将来の見通しについては、「デスクトップ市場ではCPUなどの性能よりも通信機能が重要になる」と指摘した。ケーブルモデムやDSL(デジタル加入者線)モデム、IEEE802.11b規格に準拠した無線LAN用機器など、常時接続・高速アクセス環境の提供が重要という。サーバー市場は「今後、サーバー市場でもWindowsやLinuxなど汎用製品で構成できるようになり、コモディティー化が進む。パソコン販売で磨いてきたデルモデルが威力を発揮できる」とデル会長は意気込む。

(永井 学=日経ネットビジネス)

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