米Dell ComputerのMichael Dell会長兼CEOがこのほど来日,5月11日に都内で開いた記者会見で同社のビジネスの現状と今後の戦略を語った。サーバー,ノートブック,デスクトップの各分野で市場の伸びを大きく上回る成長を達成したことをアピール。注力しているサーバー分野では,コンサルティング・サービスなどの付加価値を提供することで,ハイエンド製品の売り上げを伸ばしていくと宣言した。

 Dell会長は,「ネットワークへの接続が年々増加する現在の環境では,独自仕様の製品は売り上げを減らし,インターネットの標準技術に対応した製品がシェアを伸ばしていく」と主張。同社が扱うIntelアーキテクチャ(IA)のハードウエアとWindowsやLinuxを組み合わせた製品の優位性を訴えた。

 同時に,「今年に入ってからの需要の減退は予想以上に急に起こった」と,現在の米国におけるIT需要の低迷は認めながらも,2000年の販売実績は,市場全体の伸びを大きく上回る成長を達成したと,同社の好調ぶりを説明した。例えば,サーバーの分野では,米国の販売台数が前年比で35.7%の伸び,業界全体の11.8%の伸びを大きく上回ったという(データの出典はIDC)。日本国内のサーバー販売も,市場の27.0%の伸びに対して,デルは85.5%の伸びを達成した(同)。

 Dell会長は,ハイエンド・サーバー分野にIAとWindowsが浸透してきたことにも言及。Dellでは,8プロセッサ(8way)のサーバーが前年比72%増加し,ハイエンドのラックマウント機が230%伸びたという。さらに今後は,64ビット・プロセッサのItaniumやWindows 2000 Datacenter Serverによって,ハイエンド・サーバーの拡販を押し進めていくという。

 ハイエンドの分野は,米Unisysの32wayのサーバーが売れている。ただし,UnisysからのOEM供給を予定していた米Compaq Computerや米Hewlett-Packardが,最近になって中止した経緯があり,8wayを超えるようなWindowsサーバーのハイエンド分野には,やや不透明感が出てきた。

 Dell会長は,「ハイエンドの製品は確かに市場規模は小さい。Dellのビジネスの中心も,1Wayから8Wayのサーバーだ。しかしユーザーの需要はあり重要な分野である。16Way以上のサーバーのビジネスは現在Unisysと協力して進めている。Itaniumでは,16wayのサーバーをDellが独自に開発中だ」と,今後もハイエンドの分野に注力していくことを主張した。

 Dellが現在最も注力しているのは,サーバーとストレージの分野である。Dell会長は,「2001年第1四半期に,米国ではサーバー分野でCompaq Computerを抜いてシェア1位を達成した。日本でももうすぐコンパックコンピュータを抜くことができるだろう」と自信を見せた。

(森重 和春=日経Windows 2000)