米Sprintと米Nextel Communicationsは,米連邦通信委員会(FCC)から両社の合併に関する承認を受けたことを米国時間8月3日に明らかにした。これにより,合併に必要とされる承認がすべて得られたことになり,両社は間もなく合併手続きを完了するという。

 両社は,2004年12月に両社が合併することで合意に達したことを発表した。その時点で両社取締役会の承認を得ていたという。新会社の名称は「Sprint Nextel」で,両社はこれを「対等合併」と呼んでいる。7月には,両社の株主総会において賛成多数で合併が承認されたことも明らかにしている。

 米メディアの報道(internetnews.com)によると,両社は同日,米司法省(DOJ)からも合併に関する承認を受けている。

 FCCとDOJの両方が,合併が市場にもたらす影響について「米国の主要通信事業者数が5社から4社に減るが競争は続く」とする見解を明らかにしている。

 合併が実現すると,新しい会社は4500万人の加入者を抱える全米3位の無線通信事業者となる。新会社では,2.5GHz帯無線ブロードバンドを通じた高度な無線サービスの提供を計画している。FCCは,承認の条件として新会社が同スペクトラムのサービスを4年以内に少なくとも国内の1500万人に対して提供することを課している。また,FCCは新会社に対し,6年以内にさらに1500万人の加入者を獲得するというマイルストーンも設定している。

 同委員会メンバーのMichael Copps氏は,両社の合併に関して公衆安全の面で懸念を表明している。FCCによるE911対応の義務付けにより,Sprint Nextel社サービス加入者の95%が通話者の位置を確認できる携帯電話機を所有しなければならない。Nextel社は,この法令の定める期日に少なくとも2年は遅れをとることを認めているという。

 今回の合併以外にも,大手通信事業者間の買収計画が続いて発表されている。米国の地域系通信事業者大手の米SBC Communicationsは同年1月,長距離系通信事業者の米AT&Tをおよそ160億ドルで買収すると発表した。また,地域系通信事業者最大手の米Verizon Communicationsは,長距離系通信事業者の米MCIをおよそ67億ドルで買収しようと計画している。

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