英Clearswiftは,2004年5月のスパム・メールに関する調査結果を英国時間6月22日に発表した。それによると,5月はスパムを通じて犬の栄養補給タブレットからトレーニング向けハンドブックまで,犬を中心とする製品が売り込まれている。また,ポルノ関連のスパムは,同月後半の数週間で5.62%から14.05%とおよそ3倍に増加していることも明らかになった。

 調査により,悪意のあるソフトウエアを忍ばせたオンラインのグリーティング・カードがふたたび出回っていることも明らかになった。通常,クリスマス・シーズンに出回るこの手のスパムは,友人からの挨拶を装っているため,ユーザーは今後このようなメールの増加に特に注意する必要があるという。

 同社は,企業で働く人に対して,たとえユーモアのある迷惑メールでも有害である可能性があるため引き続き警戒するように呼びかけている。先ごろ報告されたアジアから英国の企業に仕掛けられたトロイの木馬攻撃により,悪質な電子メールからネットワークを保護する必要性が注目された。しかし,依然として多くの従業員は,一見無害なスパムが企業システムに深刻なダメージを与える可能性があることに気づいていないという。

 同社Product Futures部門ディレクタのAlyn Hockey氏は,「電子メールの脅威は,あらゆる形態で届けられる。ウイルス対策は保護の取り掛かりとしては良いが,十分というにはほど遠い。企業は,実行ファイルを遮断できるインテリジェントなコンテンツ・フィルタソフトウエアを導入する必要がある」とコメントしている。

 同月は,有名なポップ歌手Michael Jackson氏の自殺未遂という偽情報でユーザーをだまそうとするスパム・メールも出現した。このスパムは,Jackson氏が裁判の前に自殺未遂を起こしたと書かれている。巧みなソーシャル・エンジニアリングにより,このニュースに興味を持った受信者が,メールに記載されたリンクをクリックすると知らない間にトロイの木馬がダウンロードされ,悪意のあるソフトウエアがパソコン上にインストールされるという仕組みになっていた。

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