経済協力開発機構(OECD)はフランスで現地時間5月26日に,スパムに関する調査結果を発表した。それによると,スパム攻撃の影響は,(先進国よりも)発展途上国でいっそう深刻だという。

 「直面しているいくつかの問題は先進国と変わらないが,受ける衝撃はより甚大だ。ネパールやナイジェリアなどの発展途上国は効果的な迷惑メール防止策を実施する技術的知識や資金力が不足している。スパム攻撃は,こうした少ないリソースを容赦なく消耗する」(OECD)

 米国および欧州では当局やインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)がスパム撲滅に取り組んでいるため,それほどの技術力と財力のない国々に拠点を置くスパム業者が増えている。発展途上国にスパム業者が集まり,その国のISPは国際的な「ブロック・リスト(遮断対象リスト)」に載ることになる。大規模な遮断が実施されれば,ISPは合法的な電子メール・ユーザーにもサービスが提供できなくなる。

 例えば,電子メール・サービスを提供しているISPが1社しかない国の場合,ブロック・リストに載ると,国全体の電子メール・サービスが停止する可能性がある。コスタリカでは2001年に,48時間,電子メールが使えなくなった。

 ユーザーのコスト面でも被害は大きい。発展途上国では多くのWebユーザーがダイヤルアップ接続やインターネット・カフェなどの従量課金方式を利用しているため,迷惑メールをダウンロードすると費用はさらに拡大する。

 OECDは,こうした国々のISPに対し,スパム・フィルタリング技術の導入とスパム対策ポリシーの適用を進めるよう勧告している。

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[発表資料(PDF)]