米連邦議会の会計検査院(GAO)が,米国土安全保障省(DHS)のサイバー・セキュリティ対応状況に関する調査結果を米国時間5月26日に発表した。それによると,DHSは米国における重要インフラ防御の中核であるにもかかわらず,政府から求められている13項目の役割を1つも果たせていないという。調査報告書(PDF形式)はGAOのWebサイトからダウンロードできる。

 DHSは米国サイバー・セキュリティの要であり,重要情報保護に向けた国家計画の策定や,連邦/州/地方政府機関および一般企業/組織との連携を行うなど,13項目の役割を担っている。

 GAOは「これら13項目のどれ1つとして満足に対応できておらず,相当な取り組み強化が必要」と指摘する。「サイバー空間における国家的な脅威やぜい弱性に関する調査結果は,いまだにまとまっていない。非常事態発生後に重要度の高いインターネットの機能を回復させるなど,サイバー・セキュリティにおける復旧計画も未作成だ」(GAO)

 DHSに対してGAOは,組織の安定性確保と権限強化,雇用/契約問題の解決,サイバー・セキュリティに対する役割の周知徹底などを行うよう勧告した。

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[発表資料(PDF形式)]