米MCIの取締役会は米Qwest Communications Internationalから最新の買収提案を受け,「米Verizon Communicationsとの合併条件より優れている」と判断した。MCI社が米国時間4月23日に明らかにしたもの。米メディアの報道(InfoWorld)によると,Qwest社の修正案による買収総額は99億ドルにのぼるという。

 Qwest社はこれまでに数回にわたって買収提案を改訂し,金額の引き上げを行ってきたが(関連記事1関連記事2),MCI社は4月6日に,Verizon社の提案を選択することを発表。Verizon社の提示金額はQwest社のそれを下回るものの「Verizon社の提案の方が確実だ」としていた。

 しかしQwest社は4月21日に,MCI社株式を1株当たり30ドル(16ドルの現金と14ドル相当の株式)で買い取る最新案を提示。Qwest社会長兼CEOのRichard C. Notebaert氏はMCI社取締役会に宛てた書簡で,10億ドルの資金追加も提案している。なおQwest社は「4月23日午後5時までにMCI社から受け入れ回答がなければ,提案を撤回する」(Notebaert氏)としていた。

 ちなみにMCI社に拒否された前回の提示額は1株あたり27.50ドル(配当金を含めると合計27.90ドル)だった。一方Verizon社の最終提示額は,MCI社普通株1株あたり23.10ドル(8.35ドルの現金と14.75ドル相当の株式)。1株あたり0.40ドルの配当を加えると,合計23.50ドルとなる。買収総額はおよそ76億ドル。Verizon社はすでに,メキシコ通信業界の有力者Carlos Slim Helu氏からMCI社株式を約4340万株(全株式の13.7%に相当)取得している。

 なおMCI社によれば,Verizon社は4月29日まで買収条件改定のための猶予がある。MCI社取締役会は,Qwest社の最新提案について5月3日まで態度を変更できるという。

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