米WebSideStoryは米国時間2月28日,米国におけるWebブラウザの利用状況について調査した結果を発表した。それによると,全OSを対象とした場合のInternet Explorer(IE)のシェアが,初めて9割以下になった。ただし,順調にシェアを伸ばしていた米Mozilla Foundationの「Firefox」も,ここ数カ月間,シェア拡大のペースが減速気味だという。

 Firefoxのシェアは,リリース開始時期の11月5日~12月2日に1.03ポイント増加したが,12月3日~1月13日は0.89ポイント増,1月14日~2月17日は0.74ポイント増と,徐々にペースが落ちている。WebSideStory社では,初期導入者によるダウンロードが一段落ついたことや,セキュリティ・ホールに対する懸念などを要因として挙げている。

 Mozilla Foundationは2005年末までに,Firefoxのシェアを10%に引き上げることを目標としている。WebSideStory社は当初,2005年半ばまでに目標達成が可能とみていた。しかし現時点では,Mozilla Foundationが精力的なマーケティング活動を行わない限り,10%のシェア獲得は2005年いっぱいかかると予測する。

■表1 米国におけるWebブラウザのシェア(全OS対象)


                             2005年      2005年      2004年     2004年     2004年
Webブラウザ                  2月18日     1月14日     12月3日    11月5日    6月4日

Internet Explorer            89.85%     90.28%     91.80%    92.89%    95.48%
Firefox                       5.69%      4.95%      4.06%     3.03%    *3.53%
Firefoxを除くMozilla Foundationの
ブラウザ(Netscapeを含む)    2.47%      2.64%      2.83%     2.95%   
その他                         1.9%    **2.06%      1.25%     1.07%     0.95%

*Firefoxの数値を個別に算出し始めたのは2004年10月より。
このため2004年6月4日の数値には,Firefox以外の
Mozilla Foundationによるブラウザが含まれる。

**米Apple Computerの「Safari」のシェアが拡大したのは,
2004年12月初旬にセキュリティ・アップグレードを行ったため。

出典:WebSideStory社
■表2 米国におけるブラウザのシェア(Windowsのみ)


                             2005年      2005年      2004年     2004年     2004年
Webブラウザ                  2月18日     1月14日     12月3日    11月5日    6月4日

Internet Explorer            92.2%     92.72%     93.44%     94.29%    96.69%
Firefox                      5.47%      4.78%      3.90%      2.94%    *3.05%
Firefoxを除くMozilla Foundationの
ブラウザ(Netscapeを含む)   2.09%      2.24%      2.38%      2.51%
Opera                        0.18%     0.19%       0.21%      0.22%     0.20%

*Firefoxの数値を個別に算出し始めたのは2004年10月より。
このため2004年6月4日の数値には,Firefox以外の
Mozilla Foundationによるブラウザが含まれる。

出典:WebSideStory社

 ちなみに,米メディア(CNET News.com)の報道によると,WebSideStory社は海外市場におけるFirefoxのシェアも調査している。中国ではFirefoxのシェアが1.1%(IEは98.5%)だが,ドイツでは18.8%を獲得するなど,その普及は地域によって大きな幅があるという。「オープンソースのブラウザは米国やアジアより,欧州での人気が高いようだ」(同社)

 WebSideStory社CEOのJeff Lunsford氏は,「Mozilla Foundationは2月16日に,Firefox 1.0のダウンロード数がリリース以来,2500万件を突破したと発表している(関連記事)。しかし当社では,ダウンロード件数ではなく,実際にインストールして,Webサイトの閲覧に使用しているユーザーをあらわす“利用率”の方が,ブラウザの普及をみるうえで重要だと考える」と述べている。

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