米映画協会(MPAA:Motion Picture Association of America)は,ファイル交換ソフトを使ってオンラインで不正に映画を交換していた複数の個人に対し,米国各地で民事訴訟の申し立てを開始した。同協会が米国時間11月16日に明らかにした。訴訟は,著作権の侵害を訴えるもので,損害賠償金と違法行為の停止を求めるもの。対象となる個人については明らかにしていない。

 著作権法に基づき,インターネットを介して違法に交換された映画1本につき最高3万ドルの損害賠償が請求される。また,故意に著作権を侵害していたと認められた場合には15万ドルの支払いを命じられる可能性がある。

 米メディア(NYTimes)によると,MPAAが個人を提訴するのは今回が初めてだという。

 MPAAは,訴訟ととともに海賊版対策として,コンピュータ上に保存してある音楽,映画ファイル,およびPtoPのファイル交換プログラムを探し出すプログラムを無料で提供する計画を明らかにした。これは,違法な映画や音楽ファイル,PtoPアプリケーションの削除を推奨するもの。このプログラムによる検索結果は,ユーザー本人にしか分からず,MPAAやその他の組織に報告されることは無いという。

 また,ビデオ・ソフトウエアの業界団体Video Software Dealers Association(VSDA)との提携を通じ,海賊版対策キャンペーンとして全米約1万のビデオ店で12月からビデオ・クリップやポスターで海賊版対抗を訴える。

 「映画業界は,インターネット上で映画の窃盗行為を行なっている者に対して法的な手段に訴えなければならない。映画業界の将来,そして同業界を支える多数の職は,ありとあらゆる手段を利用して,これらの明白な窃盗行為から保護されるべきである」(MPAAのCEOのDan Glickman氏)

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