米Arrowhead Global Solutionsは,米国土安全保障機関向けネットワーキング・ソリューション「Trusted Multi-Net」を米国時間11月8日に発表した。同製品は,ユーザーが,複数のセキュアなネットワーク・ドメインを通じて同時に協調が可能となる技術アーキテクチャを提供するもの。同社によれば,米国情報局アナリストは,複数のネットワーク・ドメインを通じてより効率的に情報の収集,分析,伝達を行なえるようになる。Trusted Multi-Netは,米Microsoft,米Citrix Systemsといった企業との提携を通じて実現された。

 Trusted Multi-Netでは,Arrowhead社が開発したシン・クライアント「NYTOR」を使い,複数のセキュア・レベルでドメイン・アクセスとログインの認証を制御する。強化された組み込み型Windows XPを搭載するNYTORは,Citrix社のプレゼンテーション・サーバー「Citrix MetaFrame Presentation Server」と統合され,複数のネットワークから情報に安全にアクセスするためにデスクトップ・コンピュータを別に保持する必要性を排除した。

 同ソリューションにより,国土安全保障コミュニティのアナリストは,米軍のSIPRNET(Secret Internet Protocol Router Network),その他複数の重要な情報を扱うセキュア・ネットワークに単一のデバイスからアクセスでき,1台のモニターで同時に閲覧することもできるようになる。

 Arrowhead社CEO兼副社長のHoward J. Mitchell氏は,「Trusted Multi-Netは,シングル・ポイントから複数のセキュア・ネットワークへの安全なアクセスを保証する,という長い間存在した課題を実現する。同製品は,馴染みのあるWindows環境を使いながら,情報を収集して国家を守るという任務を与えられた人を支援するために構築されたツールである」と説明している。

 複数ドメインへのアクセスに必要なセキュリティのために,NYTOR E1000 Seriesのシン・クライアントは,スマートカード・スロット4基とオプションでバイオメトリクス認証機能を備え,VM Wareオペレーション・システムのセッションを1台で最大4つ同時に実行可能となる。Trusted Multi-Netは,Citrix MetaFrame Presentation Server,Microsoft社のPublic Key Infrastructure(PKI)ソフトウエア,X.509デジタル証明書,VPNトネルを利用する。

 「情報を中心とした国家安全保障を実現させるためには,複数レベルで各政府機関の重要な情報に安全にオンデマンドでアクセスできる必要がある。Trusted Multi-Netにより,セキュリティ要件を犠牲にすること無く,重要な情報へのアクセスを促進できる」(Citrix Systems社 Government Systems担当副社長のMark Goldman氏)

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