米QUALCOMMは,2004会計年度第4四半期(2004年7月~9月期)と同会計年度通期の決算を米国時間11月3日,発表した。第4四半期のGAAP(会計原則)ベースの売上高は前年比28%増の11億ドル,通期でみると前年度から27%増の49億ドルだった。同期は,株式分割を実施するとともに,ライセンス収入の計上方法を変更している。

 第4四半期のGAAPベースの売上高は11億ドルで前年同期に比べ28%増加したが,前期からは17%減となった。同期の売上高は,QUALCOMM CDMA Technologies(QCT)部門における3億4300万ドルの増収,QUALCOMM Technology Licensing(QTL)部門の910万ドルの減収を含めて前年同期から2億4700万ドルの増収となった。

 GAAPベースの希薄後の1株当たり利益は0.23ドルで前年同期から28%増,前期からは21%減となった。前期からの低下は,主にライセンス使用料からの売上高の計上方法に変更があったことが要因となっている。また,この結果には,戦略的投資を行うQUALCOMM Strategic Initiatives(QSI)事業に関連した利益や経費も含まれる。同部門における希薄後の1株当り利益は,通年で0.02ドル,第4四半期が0.03ドルだった。

 第4四半期のPro formaベースの売上高は14億ドル。前年同期から57%の増収となったが事前予測の60~62%の増加には届かなかった。希薄後の1株あたり利益は0.29ドルで事前予測の0.28~0.30ドルの範囲に収まった。

 同社は,第4四半期において株式分割を実施している。7月23日付けで同社の普通株式が2分割された。また,同期は,ライセンス取得者から実際の報告を受ける前に著作権使用料の予測をGAAPベースの会計報告に計上する方法を止めた。従来提供されてきた予想されるライセンス収入は,「Prior Method of Estimating Royalties」として補足的な情報として提供される。

 同期は,ライセンス収入の計上方法の変更に影響を受け,ライセンス収入が大幅に低下した。そのため,同社によれば,同会計年度における通年のGAAPベースの決算報告は,同社のライセンシング事業の経済活動を反映していない。従来の方法では第4四半期に大規模なライセンス収入が認められるはずだったが,新しい方法では,実際にライセンス取得者から報告を受けた後に2005年第1四半期の売上高として計上されることになるという。

 通期でみると,GAAPベースの売上高が49億ドルで前年度から27%増加。GAAPベースの利益は17億ドル(希薄後の1株当たり利益は1.03ドル)で前年度から108%(同102%)増加した。

 Pro formaベースでは,売上高が51億ドルで前年度に比べ33%増えた。同社は事前予測として33~34%の増加を見込んでいた。希薄後の1株あたり利益は1.09ドルで,同社の事前予測1.09~1.10ドルの範囲に一致した。

 「同社の2004会計年度において,CDMA市場は大きく成長した。Pro Formaベースで1株あたりの利益と売上高の両方で前年比54%増,33%増の目標を達成できた。世界でCDMA技術の普及が進み,当社のキャッシュフローと利益が大幅に増加した。株式分割プログラムを通じて株主とこの成功を共有できたたことを喜ばしく思う」(QUALCOMM社会長兼CEOのIrwin Mark Jacobs氏)

 同社は2005会計年度の見通しについても明らかにした。主な予測は以下の通り。

・2005会計年度第1四半期(2004年10月~12月期):GAAPベースの売上高は,前年同期比でおよそ7~18%増の13~14億ドルを見込む。1株あたり利益は約0.23~0.25ドルを予測する

・2005会計年度通年(2004年10月~2005年9月):GAAPベースの売上高は58~63億ドルで前年比でおよそ18~29%増となる。1株あたり利益は約1.12~1.16ドルの範囲を見込む

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